会長挨拶

筑波大学生命環境系 教授 林 久喜

 新型コロナウイルス禍の中で、いかに今まで通りの会員サービスを維持していくかは、今期の理事会にとって大きな課題となっています。本学会の大きな特徴である、現地検討会と、これとセットになったシンポジウムで構成される秋季大会は、講演会のようなリモート開催で果たして代替できるのか、現地検討の混雑をいかに解消できるのか、など課題は残されています。一方、春季大会の講演会は、若い学会員が聴衆の前でいかに自分の研究を魅力的に発表できるか、その経験を積めない課題は残るものの、一定の目的は果たせるようになりました。また、リモート会議が誰でも簡単に参加・実施できるようになり、総会、評議員会、理事会など、会議開催のための時間と経費は大きく削減できるようにもなりました。理事会はこの社会情勢下で最良の方法を模索しながら、会員が実施する農作業研究を支援し、会員交流を図っていきたいと思っております。

 今期の理事会では前期の理事会で明らかになりました会務運営上の課題を改善し、これを円滑に進められる手順を構築することを当面の目標にしております。そこでは、各委員会の負担軽減、電子投票方式も含めた役員選挙制度の改善、会員の幅広い能力の活用推進に加え、支部組織の主体的な活動推進を図りたい思っております。

 本会は学術賞、学術奨励賞、功績賞、優秀地域貢献賞、優秀学生賞の表彰制度を設けておりますが、これら表彰制度を最大限活用して会員のモチベーションを高め、もって会員のステップアップにつながるように更に支援していきたいと思っております。

 先日公表されました「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化、化学農薬50%低減、化学肥料30%低減、有機農業の取組面積比率を25%、100万haに拡大、化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行などを目標にかかげ、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現しようとしております。会員の皆様は、国の施策に沿って各地域の課題解決に向けて尽力すると共に、研究者としての自由な発想の下で、施策の先を見据えた課題設定とその解決に向けて挑戦を続け、本学会活動で成果を公表していただければと願っております。

 学会活動は会員一人一人が、会員としての責務を果たした上で学会を大いに利用して、会員の研究成果を公表していただくことが何より重要です。理事一同、更に魅力ある農作業学会へと発展するよう尽力しますので、会員一人一人のご支援をよろしくお願いいたします。

会長就任のご挨拶

小松﨑 将一会長

2019年4月1日

日本農作業学会長  小松﨑 将一

 このたび、伝統ある日本農作業学会の会長に選任され、大変光栄に存じますとともに、責任の重さを強く感じております。同時に選任された林久喜副会長、田島淳副会長並びに理事の皆様と一緒に、農作業学関連分野と本学会の発展のため、精一杯努力していきたいと思っています。

 東城前会長には、農作業学会の運営体制改革として理事会制と任期制を導入され、農業をとりまく激しい環境変動の中でも迅速かつ的確に対応できるよう、また学会運営を持続可能にかつ会員みんなが一致して活躍できるよう新たな体制つくりにご尽力いただきました。

 この2年間におきましてもこの方針を引き継ぎさせていただき、今まで農作業学会が積み上げてこられました実践技術の総合科学として農作業学(Farm Work Research)を、地域農業の強化と環境保全ならびに国内外での農業問題解決につながる総合研究へ発展できるよう鋭意取り組みます。このためには地域で実践的に取り組まれている農作業の研究を地域の個々の実情に合わせてより最適なかつ合理的な農業システムへの再提案がこの学会の大きな使命であると考えています。農作業学会では、地域の農業研究支援として、2014年度に制定された優秀地域貢献賞、2017年度からは「地域における農作業研究成果の公表促進支援」など実施してきました。これにより地域の特色ある活動を学術的に評価し、学術の成果として広く認知いただくことを目指しています。また、2019年度に制定された優秀学生賞では若手の農作業研究の意識向上を意図しております。このような取り組みを基礎にして、会員皆様の情報交換や意見交換が円滑に進み、また魅力ある学会活動が展開されるように運営して参りたいと考えております。

 農業を取り巻く状況をみますと、国際競争の激化や資材の高騰、担い手の不足、さらには気象災害の甚大化など多くの課題があります。これらの課題は地域農業に直接影響をおよぼし、この令和のあたらしい時代に「どのような農業システムが最適なのか?」という問いは、まさに現代日本において最重要課題であるといえるでしょう。この重要課題に地域農業の最前線で農家のみなさまとともに土にまみれ、汗を流しながらより良い農業を模索するのが農作業研究の強みであると考えます。農業をとりまく環境の中にも多くの希望が見えてきています。その一つは、新規就農する若者が増えている点です。農業就業人口全体で見るとその数は大きく減少・高齢化が進んでいますが、「49歳以下の新規就農者」に絞って見ると、実は増加傾向にあり、「新規雇用就農者」と「新規参入者」が増加しています。若者や女性が魅力を感じる農業の実現は大きな課題です。農作業にも「カッコイイ」、「カワイイ」という視点も重要になってくるでしょう。また、ICTやロボット、AIなどを活用した次世代型の農業「スマート農業(スマートアグリ)」の登場も注目を集めています。これらの革新的技術が、真に農作業の現場でいかされ、地域農業課題解決につながるためには、現場に根差した地道な研究との連携が何よりも大切です。さらに、気候変動への対応も大きな課題です。気候変動を緩和し、かつ適応する新しい農業の展開がそれぞれの地域で求められています。これらの課題解決に農作業分野の貢献が大いに期待されます。農作業学の基礎としている「農業の現場」は、他の学会にはないとってもユニークな視点です。いままで農作業学会が積み上げてきた成果をさらに磨きをかけ、期待に応えられる学会となるよう取り組みたいと考えています。

 これらの期待に応えるため、本学会に集積された成果や討議内容を分かりやすく情報発信していきたいと考えます。情報発信は、やはり学会誌が中心でありますので、そのコンテンツの充実は何よりも重要です。さらに、学会ホームページの充実、そして学術図書の刊行などを通じて、会員外の方にも興味を持ってもらい、理解していただく取り組みを進めていきます。

 以上、どうか皆様には、学会発展のために、地域・農業発展のために、皆様のお力をお貸しくださいますようお願い申し上げます。

 

会長就任のご挨拶

東城清秀会長

2016年4月7日

日本農作業学会長  東城 清秀

この度、伝統ある日本農作業学会の会長をお引き受けすることになり、大変光栄に、同時に重責を感じております。副会長に選出された宮崎昌宏先生と小松﨑将一先生と力を合わせて学会の運営にあたっていきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 瀧川前会長には、東日本大震災という未曾有の災害で学会活動も大きな制約を受ける中、地域農業や被災地の支援に向けた活動を展開してこられました。

 これからの3年間におきましても、今まで学会が積み上げてきた実績を元に、さらに地域農業の強化、被災地の農業復興に貢献する実践科学に発展させたいと考えております。特に、2014年度に制定された優秀地域貢献賞は、会員が果たしてこられた地域貢献を取り上げている賞で、本学会ならではの活動と思います。これからも従前以上に特色ある地域農業にもっと着目し、その特徴を学術的に評価し、それらを発信していくような活動が必要です。このような取り組みを基礎にして、会員皆様の情報交換や意見交換が円滑に進み、また魅力ある学会活動が展開されるように運営して参りたいと考えております。

  これからTPP対応の諸施策が進められようとしています。また、農業従事者の高齢化に伴って、農業法人や企業による農業が増加すると予想されますが、このような状況の中でこそ、農作業全般を理解し、管理技術から農業経営までを包括する学術分野は大変重要であります。部分的に農作業の合理化を図るだけでなく、全体を考えて総合的なマネジメントを実践することが必要です。本学会は、農作業の合理化を人間労働、食料の安全性、地域環境・地球環境への影響といった多様な視点から議論してきています。このような学術的成果をこれから農業に本格参入しようと考えている方たちにも分かりやすく伝え、また、一緒に議論していくことが必要となります。そのような意味で、本学会に集積された成果や討議内容を分かりやすく情報発信していきたいと考えます。情報発信は、やはり学会誌が中心でありますので、そのコンテンツの充実は何よりも重要です。さらに、学会ホームページの充実、そして学術図書の刊行は会員外の方にも興味を持ってもらい、理解していただく上で、大変重要で、急がなければならない時期に来ていると感じております。

 本学会では土地利用型の作物生産のみならず、野菜・果樹・花卉等の園芸分野、そして畜産分野と大変広い分野をカバーしており、生物生産科学、生産工学、社会科学など、多彩な研究者が現場の事象を同じテーブルで議論していることが特徴であります。近年は、農業生産だけでなく、環境教育、セラピー、ツーリズムといった新たな農文化に関わる研究も増加しており、本学会でも関係する学術データを蓄積し、議論を深めていくことが求められています。関連の他学会ともコラボしながら、新たな学術的価値を創出し、発信していきたいと考えております。

 以上、長々と所信を申し上げて参りましたが、どうか、学会発展のために、地域・農業発展のために、皆様のお力をお貸しくださいますようお願い申し上げます。

 

東日本大震災への対応に関する緊急集会の開催について

日本農作業学会会長  瀧川 具弘

 東日本大震災において、農作業学会としましては会員の安否確認などを通じて、会員の研究環境に関する調査を実施してまいりました。その中では、会 員の皆様が各地域で課題解決に向けてご活躍されていることをお伺いすることができました。今回の、地震、津波、原発の問題は地域の復興という枠を超えて、 省電力など新しい社会づくりへの模索に発展しはじめております。

  農作業学会は、「農業生産の合理化」を目指して、エネルギ投入の少ない農業の在り方、具体的な作業技術、あるいは省電力技術などについて先駆的に研究して まいりました。とりわけ、今夏は電力などのエネルギ不足を余儀なくされ、農業生産現場においても大いに危惧されております。また、原子力発電所からの放射 能汚染によって、地域環境が汚染されている中で、どのように農作業者の安全を守るのかという問題にも直面しております。

  震災以降、多くの学会が声明や現地調査などを行い、学会の社会的役割を果たそうとしている中で、農作業学会においてもいままでの取り組みを踏まえた貢献の在り方があるのではないかと思います。

  農作業学会は、春季大会を7月に京都大学において延期開催をする運びとなっております。この機会に、今回の震災に伴うさまざまな社会条件のなかで農作業学 会がどのような形で貢献できるかについて会員相互で意見交換する機会を下記のとおり設定させていただきました。是非、ご参集いただき積極的な意見交換いた だきますようお願い申し上げます。

 

開催要領

開催日時: 2011(平成23)年7月16日() 14:30~15:15

会 場: 京都大学 吉田キャンパス 北部構内 農学部総合館 W322教室

 

緊急メッセージ

東北地方太平洋沖大地震で被災された皆様へのお見舞いと春季大会延期について

日本農作業学会 会員各位

 3月11日に東北・関東で発生いたしました「東北地方太平洋沖大地震」によって多くの人命が失われましたことに深い哀悼の意を表します。また、現在も多くの困難に直面されている被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 会員の皆様の中にも被災された方もいらっしゃると存じますので、学会として役立てることがございましたら遠慮なく申し付けください。学会として総力をあげてご支援いたす所存です。

 さて、このような情勢を鑑みて、会員の皆様が心待ちしていたと存じます平成23年度春季大会の開催を延期することにいたしましたのでご理解とご協力をお願い申し上げます。

 なお、延期となりました平成23年度春季大会の開催期日につきましては、改めてお知らせ申し上げますので暫くの間お待ち頂けますようお願い申し上げます。

平成23年3月16日

日本農作業学会会長  瀧川 具弘

 

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