会長就任のご挨拶

2025年4月14日

日本農作業学会
会長 長﨑 裕司

 2025年度から2年間、日本農作業学会の会長を務めることになりました長﨑裕司です。3月26日に新潟大学で開催された春季大会総会にて、大谷前会長から大任を引き継ぐことになりました。帖佐直副会長、鹿内健志副会長並びに理事の皆さまと一緒に学会活動を盛り上げていきますので、よろしくお願いいたします。

 当学会も日本農作業研究会としての設立から60年という節目の年を迎えることとなりました。往時の千人余の会員数に比べれば1/4ほどになっておりますが、年4回の農作業研究誌への論文投稿が途切れることはなく、大会もコロナ禍で中止を余儀なくされた2020年春季大会を除いて続いています。2011年の東日本大震災時には3月開催は延期となったものの、同年7月に京都大学にて、清水浩教授(2020年3月在任中に急逝)を委員長とする大会運営委員会のご尽力で開催されました。その大会での「東日本大震災への対応に関する緊急集会」広域的・長期的な取組では、自身も「省電力と園芸・農業」をテーマに話題提供しましたが、学会活動を通した社会貢献の重要性に会長就任にあたり想いを致しています。

 2021年には、当学会が幹事で企画した日本農業工学会第36回シンポジウムで「みどりの食料システム戦略」に挑戦する新しい農作業研究をテーマに、自身を含む6名の学会員が講演を行い、同戦略が生産力向上と持続性の両立を目指す方向に対して、農作業合理化の観点からスマート農業を手段とした取組を紹介しました。生産性と持続性はトレードオフの関係にあるケースが多いところですが、それを打破する取組の一端は農作業研究の中にあるとみています。多様な専門分野を持つ会員が大会等で議論することにより、社会や農業が抱える諸問題の解を見いだせるのではと期待しております。

 このような議論を通して会員の裾野を広げることも可能かと思います。秋季大会のあり方について効率的な運営を図る一方で、支部活動の活性化も視野に入れて、農業の現場を感じられる企画づくりについて理事会を中心に考えてまいります。また、「農作業研究」のオープンアクセス化のほか、1999年発行の「農作業学」に続く学会編纂の教科書づくりへの対応にも前向きに検討してまいりますが、会員のメリットを確保しつつ、科学技術の発展や社会への貢献を高める取組となるよう努めたいと考えております。

4月14日は、2016年に熊本地震が発生した日であり、災害への備えが重要であることを念頭に置きつつ、性別や年齢を問わず感謝を伝え絆を深める「オレンジデー」でもあることから、つながりを大切にして日本農作業学会の諸活動を盛り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

過去の会長挨拶 

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