会長就任のご挨拶

小松﨑 将一会長

2019年4月1日

日本農作業学会長  小松﨑 将一

 このたび、伝統ある日本農作業学会の会長に選任され、大変光栄に存じますとともに、責任の重さを強く感じております。同時に選任された林久喜副会長、田島淳副会長並びに理事の皆様と一緒に、農作業学関連分野と本学会の発展のため、精一杯努力していきたいと思っています。

 東城前会長には、農作業学会の運営体制改革として理事会制と任期制を導入され、農業をとりまく激しい環境変動の中でも迅速かつ的確に対応できるよう、また学会運営を持続可能にかつ会員みんなが一致して活躍できるよう新たな体制つくりにご尽力いただきました。

 この2年間におきましてもこの方針を引き継ぎさせていただき、今まで農作業学会が積み上げてこられました実践技術の総合科学として農作業学(Farm Work Research)を、地域農業の強化と環境保全ならびに国内外での農業問題解決につながる総合研究へ発展できるよう鋭意取り組みます。このためには地域で実践的に取り組まれている農作業の研究を地域の個々の実情に合わせてより最適なかつ合理的な農業システムへの再提案がこの学会の大きな使命であると考えています。農作業学会では、地域の農業研究支援として、2014年度に制定された優秀地域貢献賞、2017年度からは「地域における農作業研究成果の公表促進支援」など実施してきました。これにより地域の特色ある活動を学術的に評価し、学術の成果として広く認知いただくことを目指しています。また、2019年度に制定された優秀学生賞では若手の農作業研究の意識向上を意図しております。このような取り組みを基礎にして、会員皆様の情報交換や意見交換が円滑に進み、また魅力ある学会活動が展開されるように運営して参りたいと考えております。

 農業を取り巻く状況をみますと、国際競争の激化や資材の高騰、担い手の不足、さらには気象災害の甚大化など多くの課題があります。これらの課題は地域農業に直接影響をおよぼし、この令和のあたらしい時代に「どのような農業システムが最適なのか?」という問いは、まさに現代日本において最重要課題であるといえるでしょう。この重要課題に地域農業の最前線で農家のみなさまとともに土にまみれ、汗を流しながらより良い農業を模索するのが農作業研究の強みであると考えます。農業をとりまく環境の中にも多くの希望が見えてきています。その一つは、新規就農する若者が増えている点です。農業就業人口全体で見るとその数は大きく減少・高齢化が進んでいますが、「49歳以下の新規就農者」に絞って見ると、実は増加傾向にあり、「新規雇用就農者」と「新規参入者」が増加しています。若者や女性が魅力を感じる農業の実現は大きな課題です。農作業にも「カッコイイ」、「カワイイ」という視点も重要になってくるでしょう。また、ICTやロボット、AIなどを活用した次世代型の農業「スマート農業(スマートアグリ)」の登場も注目を集めています。これらの革新的技術が、真に農作業の現場でいかされ、地域農業課題解決につながるためには、現場に根差した地道な研究との連携が何よりも大切です。さらに、気候変動への対応も大きな課題です。気候変動を緩和し、かつ適応する新しい農業の展開がそれぞれの地域で求められています。これらの課題解決に農作業分野の貢献が大いに期待されます。農作業学の基礎としている「農業の現場」は、他の学会にはないとってもユニークな視点です。いままで農作業学会が積み上げてきた成果をさらに磨きをかけ、期待に応えられる学会となるよう取り組みたいと考えています。

 これらの期待に応えるため、本学会に集積された成果や討議内容を分かりやすく情報発信していきたいと考えます。情報発信は、やはり学会誌が中心でありますので、そのコンテンツの充実は何よりも重要です。さらに、学会ホームページの充実、そして学術図書の刊行などを通じて、会員外の方にも興味を持ってもらい、理解していただく取り組みを進めていきます。

 以上、どうか皆様には、学会発展のために、地域・農業発展のために、皆様のお力をお貸しくださいますようお願い申し上げます。

 

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