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第45巻 2010年(平成22年)発行

第45巻第4号(通巻第145号) 平成22年12月(オンライン版:平成23年6月)

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  • 研究論文
  • 送風機を用いたトマトの送風振動受粉法 (中山秀貴)
    摘要
    トマト施設栽培において,安定的な着果を得るために,花へのホルモン処理は不可欠である.ホルモン処理は果房を機械的に振動させる振動受粉法(接触振動受粉)に比べ省力的であるが,空洞果比率が増加する可能性がある.一方,振動受粉の空洞果比率はホルモン処理に比べ小さいが大きな労働力を要する.
    筆者は,送風機を用い発生する風によりトマト果房を振動させる新しい振動受粉法(送風振動受粉)を開発した.そこで,送風振動受粉,接触振動受粉,およびホルモン処理実施時における作業時間,着果率,空洞果比率について調査した.
    着果促進処理に要する株あたりの作業時間は,送風振動受粉,接触振動受粉,ホルモン処理でそれぞれ2.8秒,7.5秒,6.7秒であった.送風振動受粉では週に2回から3回の処理が必要であったが,一方,ホルモン処理では週に1回の処理で十分であった.これらのことから,送風振動受粉の10aあたりの処理作業時間は96ないし82時間と試算され,ホルモン処理とほぼ同等であった.また,送風振動受粉とホルモン処理で作業強度に大きな違いがないことも推察できた.送風振動受粉における着果率はホルモン処理と同等であり,また,空洞果の発生は見られなかった.
    これらの結果により,送風振動受粉がトマトハウス栽培における安定着果に有効であることが示された.
    表面筋電位から見たトマトのハイワイヤー誘引栽培におけるつる下ろし作業の適正位置の解析(黒崎秀仁・大森弘美・高市益行・佐々木英和)
    摘要
    トマトのハイワイヤー誘引栽培におけるつる下ろし作業は,作業者にとって大きな負担となっている.本研究では模擬実験により,作業者と誘引線の位置関係によって生じる筋力負担の差を表面筋電位の測定によって検証した.まず,実際のつる下ろしの際に生じる持ち上げ負荷を調査した結果,6ヶ月間の平均値は45Nであった.次につる下ろし作業を想定した模擬実験を行い,被験者の積分筋電位(iEMG)を算出した.10箇所の筋肉部位のiEMGを比較した結果,作業台車のステップから誘引線までの高さ(誘引線高さ)の変化に対して顕著な反応を示した筋肉は,僧帽筋上部と三角筋前部であり,支持負荷の増加に伴いiEMGは直線的に増加した.片腕のみ,両腕の作業でもこの傾向は同じだった.作業高さに対するiEMGの反応も片腕のみと両腕の作業では同じ傾向だった.作業者の身長比に換算した誘引線高さに対するiEMGの反応は,僧帽筋上部では身長比0.45~0.55付近,三角筋前部では身長比0.6~0.65付近が極小値となったが,実際の作業環境を想定した場合,誘引線高さ身長比0.6~0.8の範囲がつる下ろし作業の適正作業位置と判断できた.水平距離に対する反応は,僧帽筋上部では不明瞭だった.三角筋前部では距離が離れるほど筋力負担が増大する傾向が見られた.しかし,距離が近すぎればトマトの葉に干渉して作業が困難になるため,最適な水平距離身長比は0.25~0.3程度と判断された.
  • 研究報文
  • ポリエチレン不織布によるマルチがわい化栽培リンゴの生育および果実品質に及ぼす影響 (藤澤弘幸・守谷友紀)
    摘要
    JM1,JM7およびM.9vfを台木としたリンゴ'ニュージョナゴールド'12年生樹を対象に,透湿性を有する白色ポリエチレン不織布を用いてマルチ栽培を行い,土壌水分,樹体生育および果実品質に及ぼす影響を検討した.
    1)土壌水分はマルチにより減少したが,比較的湿潤な水準(pF 2.0程度)にとどまった.
    2)いずれの台木樹でも,マルチ区の新梢伸長および果実重は無処理区に比べて低い傾向を示した.土壌水分の減少がその要因と推察された.
    3)果実ていあ部の着色程度は,いずれの台木樹でもマルチにより上昇する傾向が見られた.果実赤道部の着色程度は,JM7およびM.9vf台木樹ではマルチの影響を被らず,JM1台木樹ではマルチにより低下した.
    4)果汁の屈折計示度および酸含量は,いずれの台木樹でもマルチによる影響が認められなかった.
  • 支部会報告
    • 平成22年度東海・近畿支部会,中国・四国支部会合同会
    • 「柿の栽培から選果・流通まで」現地検討会
  • 本会記事

第45巻第3号(通巻第144号) 平成22年9月(オンライン版:平成23年3月)

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    • 平成22年度 秋季大会の開催について
    • 平成23年度 春季大会の開催について
    • CIGR国際シンポジウムの企画「農業技術および異文化の交流」について
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  • 研究論文
  • トマト養液栽培から排出されるトマト茎葉残さの同一経営体内での利用法の検討 (竹本 稔・深山陽子・室井義広・藤原俊六郎)
    摘要
    トマト養液栽培から排出されるトマト茎葉残さの同一経営体内での利用法を検討した.その結果,トマト茎葉残さの適切な農業利用法を作型(季節)ごとに示した.
    冬季に排出される抑制栽培トマト茎葉残さは,トマト茎葉残さを破砕した後,同一経営体内で保有する水田に施用して利用することが適切な方法であると考えられた.一方,半促成栽培での残さ片づけ時期(7~8月)は,水稲の作付け時期であり,抑制栽培のように水田に直接投入することは不可能である.このため,夏季に排出される半促成栽培トマト茎葉残さは,ハウス内で水分を低下させた残さを,フレコンバッグに破砕,充てんし,密閉した温室内で堆肥化,乾燥処理を行った後,同一経営体内で保有する水田等で利用することが適切であると考えられた.
  • 資料
    • バーク堆肥の堆肥化過程に及ぼす堆積原料のC/N比と窒素量の影響 (石黒 泰・北村 怜・澤頭勇次・福井博一)
  • 講座
    • 使える統計学基礎講座(第4回)-分散分析と共分散分析- (光永貴之)
  • 本会記事
    • 平成22年度第1回常任幹事会議事要旨
    • 平成22年度評議員会記録
    • 第46回通常総会記録
    • 会員動静
    • 賛助会員名簿

第45巻第2号(通巻第143号) 平成22年6月(オンライン版:平成22年12月)

  • 巻頭言
    • 会長就任にあたって (瀧川具弘)
  • 研究論文
  • ハイパースペクトル画像解析によるカパークロップ圃場の構成草種および草量の空間分布推定 (鈴木由美子・岡本博史・平田聡之・片岡 崇・柴田洋一)
    摘要
    本報では,カバークロップの機能性の評価基準となりえる構成草種および刈取り時草量の空間分布をハイパースペクトル画像解析により推定した.ここでは,取得した画像の各画素をNDVIにより植物と土壌に判別し,植物領域を抽出した.次に,植物領域の各画素に草種判別モデルを適用してBO,HVおよび雑草に判別した.その後,草量推定モデルにより,各区画の草種別草量を推定した.その結果,以下のことが明らかとなった.
    1)ステップワイズ変数選択を用いた線形判別分析により開発した草種判別モデルは,検証時総合判別率が78.3%であった.分光スペクトル類似性の高い草種間での誤判別がいくつかみられたが,概ね正確に判別できた.
    2)PLS回帰分析により開発した草量推定モデルは,BOおよび雑草の低草量領域でやや過大評価,高草量領域でやや過小評価の傾向があったものの,概ね推定が可能と判断できた.また,説明変数に波長情報(分光スペクトル)と空間情報(草種植被率)の双方を利用することで,より高い精度で推定できた.
    3)生成した草量推定マップでは,HVおよび雑草は概ね実圃場の状態を反映していたが,BOは低草量領域で過大評価の傾向が見られた.しかし,これらは草量推定モデルの推定精度の向上を図ることで,改善されると考えられた.
    4)以上の結果より,ハイパースペクトル画像解析によるカバークロップ圃場の構成草種判別および草種別草量分布推定の可能性が示された.
  • 研究報文
  • 山陰地方の水田転換畑におけるヒマワリ播種技術の開発と増収技術の検討 (高橋仁康・窪田 潤・亀井雅浩・奥野林太郎・藤本 寛・安武正史)
    摘要
    水田転換畑でヒマワリ栽培を行う場合,湿害が起こりやすく,また使用される麦・大豆用播種機は扁平で不斉一なヒマワリ種子の播種に適していない.この問題に対し,湿害には簡易畝立て方式で,播種機は部品交換して使用するヒマワリ用播種ロールで対応し,現地にて播種を行った.
    現地営農組合に貸与したヒマワリ用播種ロールを使用した圃場と,慣行圃場の立毛間隔を比較したところ,前者では適正な株間が59.6%であったのに対し,後者では37.1%と大きな差が見られた.開発したヒマワリ用播種ロールは,平成21年度より現地に15個が普及し,平成21年11月より市販されている.
    簡易畝立て方式は耕うん爪の配列を変えた既存の耕うん機を使用し,耕うん底からの高さ22.8(±1.0)cmの畝を形成し,日雨量90mmの降雨でも冠水することはなかった.ヒマワリの根を切らないよう20cm程度まで耕うん幅を狭くした中耕・除草方式が,無除草区より収量が高く,またN成分10kg/10aを追肥すれば,収量増が見込めることを確認した.
  • 講座
    • 使える統計学基礎講座(第3回)-直線回帰と分散分析- (光永貴之)
  • 第45回講演会・講演要旨(平成22年5月)
  • テーマセッション要旨
  • 本会記事

第45巻第1号(通巻第142号) 平成22年3月(オンライン版:平成22年9月)

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    • 日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
    • 日本農作業学会功績賞候補者の推薦依頼について
    • 平成22年度秋季大会開催について
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  • 本会記事Ⅰ
  • 研究論文
  • カンキツ園における高齢者の作業負担に関する研究 (川西啓文・西川喜裕・都 甲洙)
    摘要
    カンキツ栽培に従事する高齢者(被験者は78才の男性1名)の農作業負担の現状を事例調査・検討し以下の結論を得た.
    1)高齢者の防除作業における平均のRMRは段々畑で5.8,急傾斜畑で4.0,傾斜畑で3.6,平畑で3.3であった.しかしながら,RMRの最高値は段々畑で6.9,急傾斜畑で5.8,傾斜畑で4.4,平畑で4.1でどの畑も重労働にあった.また心拍数増加率は段々畑で67.1%,急傾斜畑で59.3%,傾斜畑で58.0%,平畑で56.0%で,(%HRR/100)では段々畑で0.61,急傾斜畑で0.532,傾斜畑で0.519,平畑で0.505であった.
    2)防除作業の段々畑における心拍数は作業開始から終了時まで上昇し続け,高齢者は段々畑における防除作業を避けるべきと考えられた.
    3)高齢者の収穫作業における作業強度はRMRの値で3.2~3.6の範囲にあり,どの畑も強労働に分類された.しかしながら心拍数増加率は35.8~47.8%の範囲にあり,心拍数増加率Bの規準で分類する場合のみ強労働になり,他では中労働に分類された.また,(%HRR/100)の値は0.265~0.319の範囲でどの畑も中労働に分類された.
    4)高齢者の積み付け作業と荷下ろし作業におけるRMRは2.4~2.6で強労働であった.しかし心拍数増加率での分類では積み付け作業は中~重労働,荷下ろし作業のそれは中~強労働に分類され,(%HRR/100)の分類では積み付け作業は強労働,荷下ろし作業は中労働に分類された.
    大規模畑作地帯におけるトラクタ作業機のうね合わせ作業の現状 (申 宝明・佐藤禎稔・今村城久・岸本 正)
    摘要
    本報はうね自動追従システムの開発のための基本研究として畑作のトラクタ作業者の作業状態とうね合わせ作業精度を明らかにし,自動追従システムに要求される制御速度を検討し,以下のことが明らかになった.
    1)作業者の後方確認時間割合は播種・移植作業の場合10~16%であるのに対し,中耕除草作業では16~27%と高くなった.
    2)うね合わせの作業精度は,播種・移植作業の場合,隣接行程のうね間の変動は,最大7.5~11.5cmであり,その後の中耕除草作業への影響が懸念される.一方,中耕除草作業の場合では,その最大変動は8.2cmに達し,作物に機械的な損傷を与えることが観察された.
    3)うね間の周期性から求めたうね自動追従システムに要求される制御速度は,トラクタの作業速度を2m/sに想定すると,播種・移植作業では最大6.6cm/sであり,中耕除草作業の場合は,10cm/s必要であると推定された.
    ダイコン‘夏つかさ’の一粒播種栽培技術の検討 (福岡信之・橋本 尚)
    摘要
    ダイコン'夏つかさ'の一粒播種栽培技術の開発を目的に,種子の粒径選別,播種深度,テープ式播種機の播種深度斉一のための機構,肥効調節型肥料の種子近接施肥の効果等を検討した.
    その結果,種子の粒径別では2mm以上の種子で発芽が良かった.播種深度も種子の出芽に密接に関係し,播種深度が3cmを超えると欠株の発生が増大した.種子の両サイド2cmの位置に被覆尿素肥料を各2粒封入すると,生育後期の根の肥大成長が促進された.これら一粒播種のための技術の組み合わせにより,欠株の発生が少なく生育が良い一粒播種栽培が可能であった.
  • 研究報文
  • 諫早湾干拓土壌におけるトラクタ走行で生じる踏圧現象 (宮嵜朋浩・岡安崇史・山田寧直・井上英二)
    摘要
    諫早湾干拓における機械走行の土壌への影響を明らかにするために,現地圃場において車輪トラクタを使用した圃場走行試験を行った.走行前後の土壌の貫入抵抗値の変化を比較,踏圧特性を明らかにすることにより,走行荷重が干拓土壌の踏圧特性ならびに,耕盤形成に及ぼす影響を検討した.以下の主な結果を示す.
    1)トラクタの走行による土壌の沈下は,1回の走行で20回の走行で生じる全沈下量の約85%が生じ,その後は緩やかに推移する.
    2)トラクタ走行時の土壌の踏圧による土壌の硬化はおおよそ垂直方向に限定され,すでに耕盤形成されている圃場では,耕盤より深い部分での硬化はほとんど進行しないものと推測される.
    3)走行による荷重は垂直方向に限定して作用し,水平方向への作用は小さいことから,諫早湾干拓圃場は,塑性的な特徴を持つ地盤であると推測される.
    4)土壌貫入抵抗は,土壌水分の変化によって影響を受け,高含水条件下は,浸潤により耕盤層の強度が低下しているためそれ以深の層も含めて土壌踏圧を加速させる可能性がある.
    5)走行時の土壌水分によって,貫入抵抗の分布に差がある.特に含水比68.4%では,走行位置直下の0.9MPa以上の貫入抵抗の分布域がなく,下方まで軟らかい状態であり,土壌水分が高い状態では,走行荷重による土壌の圧縮は起こりにくいと考えられる.
    カバークロップの種類と残渣処理が不耕起播種機利用時のトラクタの所要動力に及ぼす影響 (趙 艶忠・趙 鉄軍・小松崎将一)
    摘要
    本研究では,カバークロップの種類および残渣処理による不耕起播種機利用時のトラクタの所要動力の差異を検討した得られた結果は以下のとおりである.
    1)カバークロップの種類別にみると,ライムギ区に比べてヘアリーベッチ区や混播区で不耕起播種機利用時の所要動力が減少した.
    2)カバークロップの残渣処理により,不耕起播種機利用時の所要動力に差異が認められた.草刈り機による刈り倒しに比べてフレールモアでのカバークロップ残渣の細断により,所要動力は減少した.
    3)カバークロップ残渣量が多くなると,不耕起播種機利用時の所要動力が著しく大きくなった.カバークロップ残渣あたりの所要動力をみると,ライムギ区が最も大きくなったが,ヘアリーベッチ区と混播区では,残渣量あたりの所要動力は減少した.
    4)カバークロップの利用条件下で不耕起播種機の作業性を確保するには,イネ科とマメ科のカバークロップを混播し,十分な乾物重を確保しかつフレールモアによる細断と組み合わせることが有効であることが認められた.
    シソ青枯病の二次伝染を防止する加熱装置組み込み収穫機の効率的加熱手法の検討 (長﨑裕司・松崎健文・田中宏明・中元陽一)
    摘要
    水田転作として作付けされている加工用赤シソの収穫で問題となっている,収穫機刈刃を媒体とした青枯病の二次伝染を防止するには,刈刃を90℃以上に加熱すると有効であるとされている.そこで,電熱ヒータを用いた効率的な刈刃加熱手法を検討した.
    ヒータを直接刈刃に装着する方式では,リード線が高速で揺動するため断線の危険性が高く,実用面で問題があることから,刈刃押さえ板にヒータを貼り付ける方式を考案し,最終的に熱容量の大きいマイクロシースヒータを利用することで加熱開始後の温度上昇が速やかであり,90℃以上を維持しやすいことを確認した.
  • 解説
    • 地域特産物に対応した農業機械・作業技術開発-特集号によせて- (長﨑裕司)
  • 講座
    • 使える統計学基礎講座(第2回) (光永貴之)
  • 平成21年度日本農作業学会秋季大会報告
  • 大会資料
    • 南あわじ市の地域複合営農 (堀尾尚志)
    • 淡路型・機械化・省力化体系の構築によるたまねぎ産地の強化に向けて (西野 勝)
    • 図書紹介:「日本農業の再生―複合経営で食料自給率50パーセントを目指す―」 (堀尾尚志)
    • 県の試験研究と学会 (荒川市郎)
  • 本会記事Ⅱ
    • 常任幹事会議事要旨
    • 会員動静
  • 第46回通常総会・第45回講演会プログラム

第44巻 2009年(平成21年)発行

第44巻第4号(通巻第141号) 平成21年12月(オンライン版:平成22年6月)

  • 会 告
    • 平成22年度春季大会開催について
    • テーマセッションの課題募集について
    • 平成22年度秋季大会開催について
    • 特集論文課題の募集について
  • カレンダー
  • 論説
    • 日本農作業学会の足跡-日本農学会80周年記念によせて-(坂井直樹)
  • 研究論文
  • カバークロップの播種時期および播種量と土壌風食抑制効果 (小松崎将一・鈴木光太郎)
    摘要
    土壌風食抑制技術として効果的なカバークロップ利用手法を明らかにするため,カバークロップの種類,播種時期および播種量とカバークロップの乾物重および土壌風食抑制効果を検討した.圃場実験は茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究センターにて2005年から2007年に実施した.実験の要因として播種時期を2水準(10月,11月),カバークロップの種類を4水準とし(ライムギ,エンバク,ヘアリーベッチ,無処理区),カバークロップの播種量を3水準(密,標準,疎)とし3反復で行った.
    その結果,10月に播種する条件であれば播種量は慣行量の半分でも地表面の風速を70%以下に減少させることができ,土壌風食抑制に対して一定の効果が期待できるものと考える.また,ライムギおよびエンバクでは11月以降に播種を行い,播種量を密に播種することにより土壌風食を抑制することが認められた.しかし,ヘアリーベッチでは播種時期が11月以降では乾物重が小さく播種量を増加しても抑風効果が期待できなかった.
    これらのデータをもとにカバークロップの乾物重と相対風速の関係から線形モデルを作成した.その結果,カバークロップの乾物重が約50g/m2程度確保することにより,風速10m/sの時,地表面の風速を3m/s以下となった.このことから,土壌風食を抑制するためにカバークロップを作付する場合には,当該地域において風食被害の激しい時期に一定の地上部バイオマス(乾物重)を確保する播種時期,播種量およびカバークロップ種の選択を行う必要がある.
    黒ボク土壌水田での裏作カバークロップの窒素吸収量と土壌窒素の動態 (小松崎将一)
    摘要
    茨城大学農学部附属農場(黒ボク土壌)において,2000~2001年および2001~2002年にわたり,水稲栽培後にイネ科のカバークロップを栽培し,カバークロップの種類と土壌窒素の吸収量を比較した.イネ科カバークロップとしてライムギ,ライコムギ,コムギ,エンバクおよび裸地圃場を設定した.これらの地上部での窒素動態とあわせて土壌無機態窒素の動態について調査した.耕地内土壌窒素の最適管理という視点から水田での環境保全的な土地利用システムに関する基礎資料を得ることを目的とした.
    1)カバークロップの乾物重は,両試験年ともに3月でいずれの種類も0.5Mgha-1以下であった.2001年4月では,カバークロップの種類別ではライムギがもっとも多くの乾物重を確保し,次いでライコムギが2.3Mgha-1であり,コムギとエンバクではライムギの20%程度であった.これに対し,2002年4月ではコムギが最も大きい乾物重を示し,次いでライムギおよびライコムギであった.また,土壌窒素レベルによって乾物重は著しく増大した.
    2)カバークロップの窒素吸収量は,2001年3月および4月ではライムギがもっとも大きい値を示し,次いでライコムギとコムギであり,エンバクではライムギの36~55%に留まった.2002年3月では,カバークロップの窒素吸収量は前年よりも少ない値を示したが,カバークロップの種類間では大きな差異が認められなかった.また,土壌窒素レベルによって窒素吸収量は増大した.
    3)カバークロップの種類が土壌無機態窒素分布に及ぼす影響をみると,2001年4月では表層では,裸地区で24.8mgNkg-1と最も高く,次いでエンバクであり,ライムギ,ライコムギおよびコムギでは11~14mgNkg-1と低い値を示した.また,土壌窒素レベルでは無施肥に比べて施肥区では6mgNkg-1高い値を示した.これに対し,2002年では処理間において有意な差異が認められなかったが,裸地区でカバークロップ区よりも高い値を示す土層が多く認められた.
    4)カバークロップの吸収した窒素量は,土壌窒素が無施肥においても20~40kgNha-1の窒素成分を保持していることから,これらの後作での有効活用は施肥量削減の視点から注目されるものと考える.
    水稲湛水直播のためのエアーアシスト条播技術の開発-播種機の概要とエアーアシストの効果- (帖佐 直・古畑昌巳・大嶺政朗・松村 修)
    摘要
    水稲の湛水直播のためのエアーアシスト条播(空気を種籾に作用させることで,条を形成し,適切に種籾を埋没させる播種)技術について検討した.
    市販の粒状物散布機の作業幅を広げ,トラクタ装着型とし,さらに噴頭を試作することによりエアーアシスト条播機を開発した.播種様式を改善することを狙い,従来の噴頭よりも長さを伸ばし,先端の径を絞ったものを試作噴頭とした.
    ハイスピードカメラによる種籾の挙動解析および土槽への播種により,試作噴頭によるエアーアシスト効果を明らかにした.その結果,試作噴頭を用いたとき,種籾の落下速さは4~7m/sであり,落下方向は鉛直に対して7.1°であった.試作噴頭を用いることで条の幅は従来の40%となり,より深く埋没されることを確認した.寒天ゲルへの播種により,50~80mm程度の幅で条を形成し,5mm未満の深さで種籾が埋没されることを客観的な指標として提示した.
    以上より,試作噴頭を装着したエアーアシスト条播機が水稲の湛水直播に有用であることを確認した.
  • 研究報文
  • 無核化処理を行ったブドウ‘藤稔’,‘巨峰’の果色促進に対する硝酸アンモニウムの施用効果 (石川一憲・馬場正)
    摘要
    本研究では,満開の約3週間前に200ppmSMで無核化処理を行った4倍体品種の'藤稔'と'巨峰'を用い,後期処理に硝安の濃度を変えGAに加用して処理することによる果色の促進効果や果粒肥大および果実品質に及ぼす影響について検討した.
    1)後期処理に硝安の濃度を変えて処理をした場合の果色に及ぼす影響は,'藤稔'において果皮の着色に違いがみられ,硝安の濃度を低くして処理した果房の着色が促進する傾向にあった.
    2)硝安処理は,いずれの品種においてもその他の果粒・果房特性に影響しなかった.
    これらの結果から,満開時にCPPUを処理し,満開後の後期処理に硝安をGAに加用した処理では,'藤稔'において,12.5ないし25mM硝安の加用処理が果色促進に有効と思われた.
    農業者調査による乗用型トラクタにおける安全装備の効果の分析 (冨田宗樹・水上智道・高橋正光・塚本茂善)
    摘要
    乗トラにおける安全装備の評価および改善のための資料を得,これを考察し,事故防止策を提案すること目的として,農業者における事故事例をアンケート方式で調査した.その結果,転落・転倒事故208件,その他の事故81件の事例が得られた.そのうち,死亡事故はそれぞれ29件,18件であった.転落・転倒事故での受傷程度をROPSの有無によって比較すると,死亡事故の割合はROPSありで3%,ROPSなしでは25%と明らかな差があった.転落・転倒事故の原因は路上またはほ場での脱輪によるものが最も多く,事故の46%,死亡事故の54%であった.また,ROPSなしでは重傷の傾向があった.
    転落・転倒以外の事故では,事故全体,死亡事故とも,挟まれ,巻き込まれによるものが多く,事故が発生した作業機は,ロータリが多かった.
    本調査により,転落・転倒事故におけるROPSの死亡事故抑止効果が明らかになった.課題としては,ROPSのさらなる普及拡大に加え,シートベルトの装備および使用の推進,並びに作業機による挟まれ,巻き込まれ事故の防止策が挙げられた.
    チャ園用ミスト機を利用したクワシロカイガラムシ防除の減量散布法と防除効果 (深山大介・角川 修・荒木琢也・佐藤安志・石島 力・寺田勝二)
    摘要
    チャ園用ミスト機を用いたクワシロカイガラムシ防除の減量散布において,チャ樹上方からの下向き散布と,チャ樹両側からの側面散布の2種類の散布方法と,それぞれ散布量600L/10aまたは400L/10aで散布試験を行い,薬液付着性能および防除効果を調査したところ以下の結果を得た.
    (1)ミスト下向き散布では,散布量が600L/10aでも400L/10aでも,ともに樹冠内上位から下位になるほど感水試験紙への付着は低くなる傾向があった.また,付着程度に散布量による明確な違いはなかった.
    (2)ミスト側面散布では,下位の感水紙ほど付着度が高く,チャ樹中央上位の付着が低くなる共通した傾向があった.また散布量が400L/10aでは,全ての部位の付着度が600L/10aに比べて低くなり,散布量の違いが付着程度に影響した.
    (3)慣行防除法の散布量1000L/10aに対し,ミスト下向き散布では60%減の400L/10aの散布量でも防除効果が認められた.ミスト側面散布は,600L/10aの散布量では効果があったが,400L/10aでは効果が劣った.
  • 講座
    • 使える統計学基礎講座(第1回) (光永貴之)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事要旨
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第44巻第3号(通巻第140号) 平成21年9月(オンライン版:平成22年3月)

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  • 西南暖地におけるシロクローバの鋤込およびリビングマルチ処理が水稲の生育、収量および土壌アンモニア態窒素に与える影響 (浅木直美・上野秀人)
    摘要
    2004年と2006年にカバークロップとしてシロクローバをすき込んだ場合とリビングマルチとして利用した場合の水稲の生育,収量,土壌中のアンモニア窒素濃度を測定し,カバークロップの導入効果を評価した.緑肥すき込み区の移植後1日目の土壌アンモニア態窒素濃度は,無施用区に比べ3.8mgkg-1高かった.移植後50日目以降の緑肥すき込み区の窒素吸収インデックス(草丈,茎数および葉色値の積)は,無施用区に比べ高く推移した.さらに,m2あたり粒数と収量は,無施用区に比べ有意差はないものの高い傾向を示した.これらの結果より,緑肥のすき込み処理は土壌のアンモニア態窒素濃度を高めるとともに,水稲への窒素供給および増収効果を有すると考えられた.一方,緑肥マルチ区の移植後1日目のアンモニア態窒素濃度は,無施用区に比べ5.9mgkg-1低かった.緑肥マルチ区の収量は化学肥料区および緑肥すき込み区に比べ低く,これはm2あたり穂数および籾数が少なかったことが主な原因と考えられた.すなわち,緑肥リビングマルチ処理は,すき込み処理に比較して水稲生育初期における窒素供給性と穂数および籾数に与える効果が低いことが示唆された.カバークロップを利用して水稲を栽培する場合には,水稲移植前のカバークロップの乾物重を増加させ,カバークロップの利用法(すき込み,リビングマルチ)に応じて,施肥管理法などを改善する必要があると考えられる.
    異なる肥培管理下における水稲栽培の生産性と環境負荷の総合評価 (黒川瑠美子・林 久喜・坂井直樹)
    摘要
    作物生産システムにおける総合的な評価を行う試みとして,肥料要素がメタン発生および田面水の水質の二つの環境負荷並びに籾収量の両面に及ぼす影響について検討した.
    田面水の全窒素濃度(TN)は,基肥施肥?代かき時と,窒素およびカリの2回の追肥後の3時期に急激に上昇し,全リン濃度(TP)は基肥施肥·代かき時にのみ増加した.生育期間中の積算メタン発生量および精籾重は,無肥料区<三要素区<三要素+堆肥区<窒素倍量区となり,両者の間には高い正の相関が見られ,収量が増えるほど積算メタン発生量が高まった.積算メタン発生量の約8割が出穂以降に発生しており,これと穂数との間に高い正の相関が見られた.すなわち,水田では出穂以降のメタン発生が環境負荷に大きな影響を及ぼし,肥培管理が穂数への影響を介して籾収量とメタン発生量の双方に影響していることが明らかとなった.一方,出穂前の積算メタン発生量は栽培前の土壌炭素含有率との間に高い正の相関が見られた.
    積算メタン発生量,田面水のTNおよびTPを精籾1g当たりの値で算出し,これらの値を三要素区を100としたときの比率で表すレーダーチャートを作成した.このレーダーチャートは肥培管理の違いによる生産性と環境負荷を総合的に評価することが可能であった.その結果,環境負荷は試験区により異なったパターンを示し,肥培管理の違いが籾収量を尺度とした各環境負荷量に及ぼす影響は大きく異なることが明らかとなった.
    カキ‘富有’と‘次郎’の果実品質に及ぼす環状剥皮、結縛およびCPPU処理の影響 (河合義隆・石川一憲・藤澤弘幸)
    摘要
    カキ'富有'と'次郎'を用いて,側枝への環状剥皮と結縛の処理およびそれらとサイトカイニン活性をもつ合成化合物のCPPUの果実塗布の組み合わせ処理が果実品質に及ぼす影響について調べた.'富有'では環状剥皮の5月と7月処理で,結縛の5月,6月および7月処理で果実重が増加した.果実の糖度は,5月,6月および7月の結縛処理により増加した.これらの効果は環状剥皮処理に比べ結縛処理の方が大きかった.'次郎'では6月の環状剥皮処理で果実重と果径が無処理に比べ大きかった.処理時期としては5月または6月処理の果実品質が良好であったことから,果実生育ステージの第I期前半が適期と推察された.'富有'では,環状剥皮とCPPUの組み合わせで最も果実肥大が大きかった.'次郎'では,CPPUは単独,組み合わせ処理ともに果実の肥大を抑制した.また,'富有','次郎'ともに,CPPU処理により糖度は低下し,着色抑制がみられた.
    複雑適応系を応用したコムギ収量の空間的不均一性の解析 (片岡哲朗・久保田浩史・米川智司)
    摘要
    72aのコムギ圃場の不均一性を検証するために,4条×3mの試験区を12個設定し,各試験区から得られた20個の収量サンプル値を用い,試験区サイズ,数個の試験区を組合せたゾーニングサイズから,圃場サイズの不均一性を変動係数を用いて検証した.さらに試験区サイズとゾーニングにおける最適サンプル数を,ランダムにサンプル数を減らしていく方法と,サンプル値に重みづけをする方法によって検証した.その結果,本試験圃場では土壌の硝酸態窒素含有量と土壌含水率の空間分布およびトラクタの作業方向が収量に影響を与えていることが明らかになり,少なくともこれらを環境要因とした複雑適応系の考え方が適用できることが示された.本試験圃場では,圃場を環境要因が同程度な4区域にゾーニングすることで,サンプリングの効率化が可能であった.
    土壌に鋤き込まれた数種緑肥窒素のみかけの無機化率とコマツナに対する施用効果【英文】 (モハマド ザリフ シャリフィ・松村昭治・平澤 正・小松崎将一)
    摘要
    養分循環の推進による環境負荷の少ない輪作体系の確立を目的として,数種緑肥作物を土壌にすき込んだ場合のみかけの窒素無機化率と後作物に対する可給性について,ポット試験により検討した. 4種類の緑肥作物(ヘアリーベッチ:HV, ヒマワリ:SF, クロタラリア:CR, 陸稲:UP)の細断物をそれぞれ窒素量が一定(200kgNha-1)になるように土壌に混合してポットに詰めた.SFは子実成熟前に収穫されたものであった。これら4試験区に加え,同窒素量の化学肥料区(F)および窒素無添加区(対照区,C)を設けた.ビニールハウス内で,資材混合2週間後にコマツナを播種し,75日間栽培した.途中で間引きを含め5回サンプリングを行い,乾物重と窒素含有率を測定した. コマツナの乾物重および窒素含有率はF区>HV区SF区>C区>UR区となり,UR区は対照区より劣った.混合資材由来窒素の吸収量はF区で最大となり,HV区とSF区がこれに続き,UR区は計算上マイナスになった.差引法によって求めた残渣の窒素無機化率はHV区とSF区でCR区,UR区よりも有意に高かった.土壌中の無機態窒素もHV区とSF区が明らかにCR区,UR区より高かった. 以上の結果から,後作物への窒素供給すなわち後作物の窒素要求との同期性という点においては,供試したカバークロップのなかではヘアリーベッチと子実成熟前のヒマワリが最も望ましい性質を持つと考えられた.
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  • インドネシアジャワ島西部における有機水稲栽培での農作業システムと土壌炭素に関する調査【英文】 (小松崎将一・M. ファイズ シュアイブ)
    摘要
    ジャワ島における米生産については人力及び畜力を主体とした生産システムが基本であるが,近年,石油価格の高騰の影響を受け肥料価格が上昇し,農家が自給できるボカシ肥料を利用した有機農業が広がりつつある.本報告では,ジャワ島における有機農業の作業体系と土壌炭素貯留量の変化について検討した.
    土壌調査によれば,慣行栽培の土壌炭素の含有率が2.31%に対して,有機農業を継続して4年目の圃場では,3.24%に増加し,土壌有機物の集積が図られていることが示された.土壌中の炭素は腐植などの形で土壌に封じ込められることから,農耕地の炭素含有量の増加は温室効果ガスである二酸化炭素を農耕地に封じ込める炭素隔離機能も注目される.インドネシアにおいても有機農業を推進していく中で土壌炭素の貯留量増加は温暖化抑制の視点からも注目される可能性が高い.
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第44巻第2号(通巻第139号) 平成21年6月(オンライン版:平成21年12月)

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  • 簡易猿害防止柵の改良と農作物被害防止効果 (藤田博之・福井俊男・國本佳範)
    摘要
    簡易猿害防止柵の設置圃場における問題点について改良を実施し,圃場への侵入および農作物被害防止効果について検討した.サルの出没・被害状況はカメラ撮影,圃場調査および聞き取り等により確認した.
    ネット資材を劣化が早かったナイロン製からポリエチレン製に変更することでネットの耐久性が向上した.また,柵内が見通せる状態であった柵下部に被覆を行うことで高い侵入および農作物被害防止効果が得られた.
    馴れの進んだサルへの対策として簡易柵を複雑化した二重展張型簡易柵を設置したが,その被害防止効果は低かった.しかし,簡易柵に電牧器を組み合わせた電気型簡易猿害防止柵は完全に侵入を阻止し,農作物被害は認められなかった.
    また,住民による追い払い等の心理的障壁は,防止柵の効果を持続させるために必要と考えられた.
    サトウキビ栽培における作業可能日数拡大のための圃場排水性改善技術 (深見公一郎・杉本光穂・新里良章・赤地 徹)
    摘要
    ジャーガル圃場において排土型心土破砕と明渠等を組み合わせた簡易な圃場排水性改善技術を開発し,その効果について検討した.以下に主な結果を示す.
    1)本排水技術では,春・夏植時には排土型を格子状,株出時には条間に沿って施工し,排水路付近に排水ピットを造成する.
    2)心土破砕および耕耘並びに植付作業等は土壌含水比が30%d.b.以上になると安定した連続作業が困難になる.
    3)排水ピット方式では,降雨後速やかに排水され,降雨量100mm程度までの時,慣行区より4日早く圃場作業が行える.
    4)排水ピット方式を導入すると,夏植えではプランタ作業,春・株出では培土作業の作業負担面積が最も増大し,それぞれ4haおよび5ha程度作業負担面積が増える.
    5)排水ピット作成に要する費用は,1箇所あたり37,000円であり,4年に1回更新した場合,年間9,000円程度のコストになる.
  • 研究報文
  • 二番茶生産における生育期の送風式捕虫処理が害虫発生消長,収量および品質に及ぼす影響 (深山大介・吉田克志・佐藤安志・角川 修・荒木琢也・宮崎昌宏)
    摘要
    ミスト風により物理的に害虫を除去・捕獲する送風式捕虫機による処理の有無と処理頻度が,害虫発生消長や二番茶収量,品質に与える影響を明らかにするため,二番茶生育期に週1回または週2回処理を継続し,以下の結果を得た.
    1)チャノミドリヒメヨコバイに対しては,週2回処理区では虫数を抑える効果が確認できたが,週1回処理区では,無処理区と同等であり,捕虫処理の効果は低かった.
    2)週1回処理区の収量は,週2回処理区や慣行防除区に対して少なくなった.週1回処理区は無処理区と同様に茶芽が小さく,生育が不良になることがわかった.
    3)荒茶の遊離アミノ酸,テアニン各含量は,週2回処理区が週1回処理区より高く,特に品質の指標となるテアニンについては,週2回処理区は慣行防除区と同等であった.
    4)以上,ヨコバイ消長を抑える効果や,ヨコバイを原因とする収量減,および品質低下に対しては,週2回の処理頻度が必要であったが,アザミウマに対しては週2回処理でも効果は低く注意が必要である.
  • 第44回講演会・講演要旨(平成21年3月)
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    • 緑肥作物の普及推進に携わっての雑感 (久保田幸男)
    • 平成21年度春季大会に参加して (趙 艶忠)
    • 平成21年度春季大会に参加して (豊田成章)
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第44巻第1号(通巻第138号) 平成21年3月(オンライン版:平成21年9月)

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  • 不織布マルチングによる水稲直播・有機栽培-代かき時期と基肥施用時期の影響-【英文】 (ホセイン シャイク タンビール・杉本秀樹・山下 淳・ジョエル マトサレム アルカラス)
    摘要
    不織布を利用した布マルチ水稲直播・有機栽培では,代かきを布マルチの敷設(播種)2日前(P2)に行っていたが,土壌がぬかるみ,敷設作業時の身体的負担が著しく大きかった.そこで,これを軽減するため代かきを敷設10日前(P10)に行い,作業者の身体的負担の度合ならびに水稲の生育・収量をP2区と比較した.基肥には菜種油粕と鶏糞堆肥を用い,窒素が6g/m2(リン酸は窒素と同量,カリは窒素の55%)となるようP2区では敷設2日前(P2-B2,代かきの直前)に,P10区では敷設14日前(P10-B14)および3日前(P10-B3)に施用した.追肥は各区とも出穂29日前に菜種油粕を用い,窒素が3g/m2(リン酸とカリは窒素のそれぞれ38%および19%)となるよう施用した.
    P10-B14区とP10-B3区とで水稲の生育・収量に有意な差はなく,P10区では基肥施用時期については特に考慮する必要のないことが分かった.P10-B14区では土壌表層部の硬度が高くなり,敷設作業時の身体的負担が軽減された.しかし,同区の収量はP2-B2区より12%低かった.土壌無機態窒素が低く推移したことから,葉面積の展開が抑制されて乾物生産が不足し登熟歩合が低かったことに起因したと考えられた.作業者の身体的負担の軽減を図りながら収量を減らさないための代かき時期,追肥の量やその施用時期などの検討が今後必要である.
    耳朶脈波分析による静的作業時の休憩効果とその際に飲用するカフェイン含有コーヒーの効用について (山田貴代・山下 淳・苗 鉄軍)
    摘要
    本研究は,静的作業における作業者の精神的負担を知ること,作業者の負担を軽減させる休憩の効果を明らかにすること,休憩の際に飲用する市販のカフェイン含有コーヒーの効果を明らかにすることを目的とした.被験者に精神作業負荷を課すため,内田クレペリン検査を使用し,以下の3つの実験を行った.実験1では,短時間の休憩時間(5分間)でも休憩中に飲料を飲用すると,休憩効果の向上がはかれることが分かった.実験2では,休憩時間を20分に延長し,さらにカフェイン含有の有無が休憩効果に及ぼす影響について調査した.正答数,脈拍数およびカオスアトラクタを調べた結果,カフェイン含有コーヒー飲用時の方が休憩の効果が高かった.そこで,実験3では被験者数を38人に増員し,二重盲検法にてカフェインの効果を詳細に調べた.15分間を1ラウンドとし,10ラウンド(計150分)まで作業し,途中(75分)でカフェイン飲料を飲用した.その結果,カフェイン飲用した場合には作業量が多くなることが分かった.平均脈拍数に関してもカフェイン含有コーヒー飲用グループでは低下し,従来のカフェイン効果の研究結果とほぼ同じ傾向を示した.また,各ラウンドの被験者の精神的負担の状況をアトラクタによって確認することができた.
    以上,静的作業者にとっても動的作業と同様に休憩は重要であり,休憩の際にカフェイン含有飲料を飲用することによって,より良い作業環境を構築できると示唆された.
    種子付きマットを用いた水稲「箱なし苗」の作業性 (白土宏之・北川 寿・小倉昭男・中西一泰・鈴木光則)
    摘要
    種子付きマットを用いた「箱なし苗」と苗箱を用いた慣行苗をビニルハウス内の無加温平置き出芽法にて育苗し,作業時間,苗マットや苗の形質,移植精度等を比較した.
    1)箱なし苗は,育苗準備の作業時間が苗20枚当たり20.7分と慣行の約1/3になり,苗箱の回収・洗浄・保管も不要となった.
    2)箱なし苗の苗マットの質量は2.8kgで慣行の半分以下であり,従来軽量苗として報告されている苗より軽く,ハンドリングの軽作業化に大きな効果がある.
    3)箱なし苗の引張強度は慣行苗よりやや弱い程度で,丸めての運搬やハンドリングに支障がなかった.
    4)慣行苗より育苗期間を1日~6日長くした場合,箱なし苗の苗丈は慣行苗と同程度で,葉齢と茎葉乾物重は,慣行苗並かやや優った.
    5)箱なし苗は慣行苗より欠株率が高かったものの,最大で7%であった.
    6)箱なし苗は育苗準備の作業時間の短縮と軽作業化に大きな効果があると考えられた.
  • 研究報文
  • ストレプトマイシンにより無核化したブドウ‘藤稔’におけるCPPU加用GA1回処理時期の検討 (石川一憲・馬場 正)
    摘要
    本研究では,開花前にSMを処理した'藤稔'果房のCPPU加用GA1回処理の処理時期の違いが果粒肥大や果実品質に及ぼす影響について検討した.
    1)満開10日後および15日後に処理を行った場合,ベレーゾン期に関係なく果粒肥大を高めたが,果皮色は,他の処理より1週遅れでL*値が低下し,a*値がピークを迎えた.
    2)収穫果実については,いずれの処理区もSM処理しない慣行処理に比べて無核率が高かった.1果粒重は,処理時期が遅いほど大きい果粒になった.果梗長は,満開10日後および15日後処理が慣行処理に比べて有意に短かった.処理時期が遅いほど果皮の紫黒色がやや薄く浅い色になり,果汁糖度が低くなるなどの傾向がみられた.
    3)以上から,開花前にSMを処理した'藤稔'果房のCPPU加用GA1回処理は,安定した果梗伸長や果皮色から判断して,満開5日後処理が適期であった.
    ストレプトマイシンの濃度と処理時期の違いがブドウ‘藤稔’の果房特性に及ぼす影響 (石川一憲・馬場 正・藤澤弘幸・関 達哉)
    摘要
    本研究では,ブドウ'藤稔'のSM低濃度処理が無核粒率や果房特性に及ぼす影響について検討した.
    1)早期にSMを単独で行う処理では,100ppmSMが,200ppmと同様に果粒をほぼ完全に無核化した.100ppmSMで処理した果房の果粒や穂軸は,慣行で処理される200ppmよりも大きく,重い傾向がうかがえた.果皮色や果汁の糖度には違いはなかったが,酸度は100ppmSM処理で低下する傾向がうかがえた.
    2)開花期にSMとGAを混合した処理では,満開日100ppmSM処理で果粒が大きく,穂軸などの軸生長を高める傾向にあったが,無核率が劣った.しかし,満開3日前の200ppmSM処理では無核率が高く,果色や果汁の糖度,酸度を高める傾向がうかがえた.
  • 平成20年度 日本農作業学会秋季大会・関東支部合同大会報告
  • 農作業学会関東支部セミナー報告
    • 平成20年度秋季大会に参加して (安達智哉)
    • 平成20年度秋季大会に参加して (川崎拓也)
  • 書評 (遠藤織太郎)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事要旨
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    • 賛助会員名簿
  • 平成21年度春季大会プログラム

第43巻 2008年(平成20年)発行

第43巻第4号(通巻第137号) 平成20年12月(オンライン版:平成21年6月)

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  • コムギを利用したリビングマルチによるダイズ作の除草必要期間の短縮 (辻 博之・大下泰生・君和田健二・石川枝津子)
    摘要
    コムギを利用したダイズのリビングマルチ栽培による除草必要期間の短縮効果を,イヌホオズキ,イヌビエ,オオイヌタデ,スベリヒユの4草種において検討した.リビングマルチ栽培は全ての雑草で,草丈または最長茎長の伸長速度を顕著に抑制した.地表面の相対照度が10%以下となる日をダイズの標準期播栽培C区で7月30日,その他の試験区で8月5日とし,その時点での草丈の上限を350mmとして,草丈の伸長速度から除草必要期間を推定した.その結果,リビングマルチ栽培の除草必要期間は慣行栽培よりも,イヌビエで約15日,オオイヌタデで約20日短縮された.同様の方法でイヌホオズキの除草必要期間を求めると,リビングマルチ栽培の除草必要期間は慣行栽培よりも約35日短縮されると計算された.しかし,雑草の生育量と汚粒源となる果実生産の抑制効果から除草必要期間を検証すると,この結果は過大であった.実際のイヌホオズキの除草必要期間は,機械収穫時のダイズの汚損粒などを考慮すると,リビングマルチ栽培によって20日程度短縮されると考えられた.また,スベリヒユの生育はリビングマルチによってほぼ完全に抑えられた.これらの結果から,北海道におけるダイズのリビングマルチ栽培における除草必要期間はおおむね30日以内と考えられた.
    ナギナタガヤ草生ミカン園における枯死ナギナタガヤ由来窒素の吸収特性 (石川 啓・木村秀也)
    摘要
    ウンシュウミカン園において,枯死ナギナタガヤ由来窒素のミカン樹および再発生ナギナタガヤによる吸収特性を明らかにするため,圃場条件下とポット条件下で15N標識ナギナタガヤを施用し,1年間の追跡調査を行った.
    5月下旬に枯死したナギナタガヤ由来窒素は,8月頃からミカン樹に吸収され始め,当年のミカン樹各器官や翌年の春季新生器官に移行した.同様に,再発生したナギナタガヤにも吸収され,1年後のミカン樹と再発生ナギナタガヤによる枯死ナギナタガヤ由来窒素の吸収量はほぼ同量であった.また,ミカン樹各器官の15N寄与率は春季新生器官や旧葉・細根で高く,収穫果では低かった.再発生したナギナタガヤの15N寄与率は樹体に比べて著しく高く,かつ地下部の方が地上部より高率であった.枯死ナギナタガヤ由来窒素の利用率は,樹体5.5%,ナギナタガヤ5.4%であり,施用から再発生したナギナタガヤが枯死するまでの間に,約11%の窒素が利用されることが明らかになった.
    ハクサイ栽培でのカバークロップ利用による土壌風食の抑制 (小松崎将一・鈴木光太郎)
    摘要
    本研究では,冬季乾燥期における秋冬野菜収穫地での土壌風食を防止するためにカバークロップを利用し,生産性と土壌・環境保全の調和した農作業システムを検討することを目的とした.ここでは,ハクサイ生育期間中の畝間にカバークロップを播種する体系を検討した.実験の要因として播種時期を3水準(10月および11月上旬,11月中下旬,および12月),カバークロップの種類を3水準(ライムギ,エンバク,無処理区)とし,3反復で行った.実験は,2004年8月から2005年4月までおよび2005年8月から2006年4月まで実施した.結果の大要は以下のとおりである.
    1)ハクサイの収量は,カバークロップ利用条件下でカバークロップの種類および播種時期の違いによる差異は認められなかった.
    2)カバークロップの草丈および乾物重はいずれの調査時期においても10月中旬および11月上旬播種区ではエンバクに比べライムギが大きく,播種時期が遅れるにしたがって,乾物重は小さくなった.
    3)風洞を用いた風速分布をみると,10月中旬および11月上旬播種区ではライムギ,エンバクともに地上5cmの高さでの風速が土壌風食の発生風速である3m/s以下に抑制された.
    4)カバークロップの乾物重と相対風速を累乗近似した結果,有意な相関関係が示された.カバークロップの乾物重が約50~100g/m2程度であれば今回用いたカバークロップ草種において風速を3m/s以下にすることが可能であり土壌風食を抑制すると考えられた.
    5)以上の結果から,秋野菜栽培の畝間にイネ科のカバークロップを播種し,秋野菜収穫後それらの植生が地面の風速を抑制する農作業技術は,地域における持続的な農業確立のために一定の貢献する可能性がある.
  • 研究報文
  • ヘアリーベッチ導入水田における中苗移植された稲の生育と収量 (堀元栄枝・藤井義晴・荒木 肇)
    摘要
    ヘアリーベッチは2001年11月1日に4kg/10aで播種した.翌年2002年5月17日にヘアリーベッチをすき込みあるいは不耕起マルチとして水田に導入した栽培において,水稲の生育遅延・収量低下を克服するために,中苗移植の効果を慣行栽培である稚苗移植と比較した.移植後28日(6月20日)の葉身窒素含有量はHVすき込み区の中苗移植株が3.8%,HVマルチ区の中苗移植株が3.6%と慣行栽培の3.5%以上となった.移植後56日(7月18日)の水稲の草丈は慣行栽培で58.5cm,ヘアリーベッチを導入した水田の中苗移植株でも同様であった.茎数は慣行栽培の8.0/株に対し,HVすき込み区での中苗移植株は9.7/株と増加したが,HVマルチ区の中苗移植株は6.8/株と少なかった.ヘアリーベッチを導入した水田の中苗移植株のLAIは移植後78日(8月10日)に慣行栽培と同等であった.ヘアリーベッチを導入した水田で稚苗移植株の水稲収量は,慣行栽培の62.6%から67.3%の収量であった.しかし,中苗移植株では慣行栽培の81.4%から85.6%まで増加した.
    以上からヘアリーベッチ導入水田に生じる稲の生育遅延と収量低減は中苗を栽培することによって改善できる可能性が示された.
    ダイズのリビングマルチ栽培に利用するムギ類の品種と雑草抑制効果との関係 (三浦重典・小林浩幸)
    摘要
    秋播き性の高いオオムギおよびコムギ18品種をリビングマルチとして供試し,無中耕・無除草剤でダイズの栽培を行い,形態的特性や遮光能力等の違いが雑草の抑制やダイズの収量に及ぼす影響を比較した.7月上旬における遮光率は,品種の違いによる差が大きく,シンジュボシ,べんけいむぎで雑草の生育を顕著に抑制するとされる90%を超えていた.遮光率とムギ類の乾物重および乗算優占度との間には高い正の相関関係が認められた.また,8月上旬の雑草乾物重とムギ類の草高および乗算優占度との間には負の相関関係が認められた.このことから,雑草抑制効果を評価するには,乗算優占度が最も良い指標になりうると判断された.リビングマルチ栽培したダイズの収量は,全般に慣行栽培より低い傾向にあった.これは,試験圃場で雑草の埋土種子量が多く,比較的遮光に強いとされるヒエ類やタデ類が優占していたことから,初期に発生した雑草が残存したことが主な原因と推察された.
  • 解説
    • カバークロップを利用した作物生産体系-特集号によせて- (荒木 肇)
    • 平成20年度秋季大会「有機農業の現状と課題」に参加して (庄司浩一)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事要旨
    • 会員動静
    • 賛助会員名簿
  • 農作業研究 第43巻 総目次

第43巻第3号(通巻第136号) 平成20年9月(オンライン版:平成21年3月)

  • 会 告
    • 平成20年度秋季大会,関東支部合同大会開催について シンポジウム-有機農業の現状と課題-
    • 平成21年度春季大会(第45回通常総会・第44回講演会)開催について
    • 農作業研究の著作権の帰属について
  • カレンダー
  • 研究論文
  • 背負い式シェーカおよびトラクタ用シェーカによるリンゴの収穫 (赤瀬 章・鈴木洋・本間英治・備前和博)
    摘要
    リンゴを背負い式シェーカおよびトラクタ用シェーカで振動収穫し,地上に置いた2.7m×2.7mのキャッチングフレーム(厚さ約10cmのウレタンフォーム)によって収果したときの収穫性能,収果性能をほ場で調べた.同時に捕集された果実の保蔵性を調べた.基礎試験として室内における引っ張り脱離試験,振動脱離試験も行った.主な結果は次の通りである.
    (1)果実を果梗に対して直角方向に引っ張ると脱離抵抗力は果梗方向のそれの約5分の1であった.そのときすべて果梗付き果となった.
    (2)室内振動試験の結果,リンゴを3秒間で落下させるには振幅1,2,3,4cmではそれぞれ振動数6.7,5.0,3.3,3.3Hz以上が必要であった.
    (3)クランプより枝先にある果実の落下率はほぼ90%であった.落下果実のキャッチングフレームによる回収率は100%に近かった.
    (4)枝に加えられた振幅は,背負い式シェーカでは1.4-3.3cm,トラクタ用シェーカでは3.8-3.9cmであった.
    (5)シェーカによる果実の損傷は打ち傷,切り傷,刺し傷であった.保蔵後2.5か月で,外皮に損傷のない果実が60%あった.
    (6)果実を高さ2mからウレタンフォーム上に落下させたところ,厚さ10cmでは損傷はなかった.
    イネ単作水田の複作化にともなう付加的利益 (坂井直樹・根津久美・林 久喜)
    摘要
    イネ単作水田の複作化にともなう付加的利益を探求するねらいで,以下の3つの関連実験を2004年に実施した.
    1)前作のホテイアオイを緑肥として機能させることが可能かどうかを探る実験では,基肥量とすき込み量を要因とした.0gN/m2(0区)ではすき込み量の増加によって籾収量は減少したが,慣行量とほぼ同等の籾収量が得られた2.5gN/m2(1/2区)ではすき込み量の影響はみられず,施肥レベルによって異なる収量応答が確認された.この際,さまざまな場面で窒素飢餓が生じていた可能性がある.
    2)全面全層施肥に代わる側条施肥と肥効調節型肥料を用いて,イネ生育環境への厚遇が可能かどうかを調べた実験では,同時に移植時期もずらしてみたが,要因とした肥料形態や共存作物の有無による収量への顕著な影響はみられなかった.
    3)共存作物の導入で単作水田からのメタン発生量が削減するかどうかを知るねらいで試みた実験では,要因を上記2)と同様にし,窒素施用量は全区同一とした.メタンフラックスと土壌Ehの変化には区間差がみられたが,メタンの生育期間中の合計発生量に区間差はみられず,しかも慣行区と大差がなかった.
    4)イネとホテイアオイの競合は厳しい資源獲得状況においてのみ顕在化するのではないかということが推察された.今後,実用化の場面で懸念される窒素飢餓の問題を克服するため,埋設有機物の分解速度を定量的に把握するなどの基礎データの充実を図っていく必要性がある.
  • 研究報文
  • 局所耕うん・定植用全自動作業機の開発 (田島 淳・樹野淳也・加藤雅義・佐々木豊・川島平太・石井忠司・宮内康弘・木下榮一郎)
    摘要
    本論文では,著者らが開発を行っている太陽電池駆動型農作業システムの圃場内作業車両に搭載する作業機に関して報告している.具体的には,このロボットシステムは,環境保全型の局所耕うん栽培法を実践することを前提にしていることから,市販のセル成型苗用移植機の移植機部を流用することにより,局所耕うんと定植を同時に実施する作業機の開発を行った.
    この開発した作業機について植付性能と消費電力に関する特性試験を行った.植付試験では,約96%の株の植付けを完全な無人運転で実施することができた.一方,この作業機の消費電力は1サイクルあたり約1kJであり,その3分の2が耕うん時に消費されることを把握できた.
    これらの結果より,作業機の基本性能の確認をしたものの,今後,全自動システムを構築するには,解決すべき課題があることが認識された.具体的には,苗のピックアップの成功失敗の判断機能,セルトレイ上の苗が未出芽でないかの判断機能,複雑な土壌環境が予想される雑草リビングマルチ下での局所耕うん器具の消費電力の計測などである.
    また,提案したシステムは栽培システムも含めて全自動化することによって,太陽光発電などの新たなエネルギ源を農作業システムに導入する可能性が示されたものと考えている.今後は制御車からの苗補給システムの開発について報告する予定である.
    本研究の遂行には東京農業大学大学院学生寺田裕君の努力によるところが多いことを記し,ここに謝意を表します.
    また,本研究は,文部科学省オープンリサーチセンター事業(平成13年度~平成17年度)の助成を得て実施したものである.
    苗掻取量の削減および株間拡大が生育・収量に及ぼす影響 -育苗・苗運搬労力軽減のための水稲疎植栽培- (川崎哲郎・森重陽子・杉山英治・木村 浩・杉本秀樹)
    摘要
    早期栽培の「あきたこまち」,普通期栽培の「こいごころ」,「ひめのまい」について,田植機の苗掻取量削減による疎植栽培が収量に与える影響を移植時期別に調査し,使用苗箱数削減の可能性について検討した。その結果は以下のとおりであった.
    1)慣行の株間(「あきたこまち」:15cm,「こいごころ」・「ひめのまい」:18cm)では,いずれの移植時期においても1株当り植付け本数の減少による収量の低下はみられなかった.
    2)株間を2倍に拡大した場合においては,偏穂重型の「あきたこまち」は4月下旬,中間型の「こいごころ」および偏穂数型の「ひめのまい」は6月上・中旬に移植した場合には植付け本数の減少による収量の低下は認められなかった.
    3)欠株率は,一般栽培に準じた苗の掻取量では1%程度と極めて少なく,苗掻取量を最少にした場合には最大4%に増大したが,いずれの場合も連続した欠株はみられなかった.
    4)これらの結果から,慣行の株間で移植する場合には苗掻取量を最少にすることによって苗箱使用量を慣行の60%以下に削減でき,さらに,移植時期を考慮するとともに,株間の拡大と田植機の苗掻取量を組合せることによって苗箱使用量を慣行の30%以下に削減できるものと推察された.
    飼料イネ用ロールべーラのための乳酸菌散布装置の自動化 (元林浩太・湯川智行)
    摘要
    飼料イネ収穫・調製作業において収穫と同時に収穫物に乳酸菌溶液等を添加する際に,溶液の噴霧を適切・自動的に断続できる乳酸菌散布装置を開発した.
    1)本装置では,複数のセンサを組み合わせて簡易な自動化回路を構成したことにより,オペレータが頻繁なスイッチ操作をすることなく自動的に薬液の散布が断続できる.
    2)大区画圃場における実証試験から,停止中や旋回中等の無駄な散布を容易に抑制することができ,薬液の節減効果は最大37%となった.
    3)制御回路の異常時には直ちにバイパス回路に切り替えて従来法と同等の作業が保証されるなど,高い有用性が確認された.
    • 大会運営委員としての平成20年度日本農作業学会春季大会 (吉永慶太)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事要旨
    • 評議員会記録
    • 第44回通常総会記録
    • 会員動静
    • 賛助会員名簿

第43巻第2号(通巻第135号) 平成20年6月(オンライン版:平成21年3月)

  • 会 告
    • 日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
    • 日本農作業学会功績賞候補者の推薦依頼について
  • カレンダー
  • 研究論文
  • ナギナタガヤ草生ミカン園における秋肥窒素の吸収特性 (石川 啓・木村秀也)
    摘要
    ナギナタガヤ草生ミカン園における,秋肥窒素のウンシュウミカン樹とナギナタガヤによる吸収特性を把握するため,ポット栽培条件下において15Nトレーサー法を用いて検討した.
    ミカン樹による秋肥窒素吸収量は,草生区が裸地区の41%と著しく少なく,特に吸収窒素の集積が大きい新葉と細根における差異が大きかった.草生区におけるナギナタガヤの秋肥窒素吸収量は,同区の樹体の約2倍であった.また,ナギナタガヤは吸収窒素の多くが地上部に分配されていた.樹体の15N寄与率は,草生区に比べて裸地区の方が明らかに高かった.一方,ナギナタガヤにおける15N寄与率は,樹体に比べて著しく高かった.秋肥窒素の利用率は,樹体を比較すると草生区19.5%,裸地区48.1%であり,裸地区の方が顕著に高かった.しかし,ナギナタガヤによる吸収量を加えた草生区の利用率は60.9%となり,裸地区の約1.3倍になることが示された.
  • 研究報文
  • 聞きとり調査によるフィリピンの水田地帯での歩行用トラクタの操作性評価【英文】 (御手洗正文・シキャット J. C. V.・木下 統・豊満幸雄)
    摘要
    本報はフィリピンにおける農業用機械・機具の設計要素を明らかにする事を目的として,歩行用トラクタを利用した農作業における人間工学的な諸問題を124名のオペレータから聞き取り調査したものである.また,歩行用トラクタの設計要素を人間工学的に検討するための基礎資料としてオペレータの身体的調査を同時に行った.調査はフィリピンの水田地帯であるヌエバ・エシハ・ムニョスにおいて2001-2003年に実施した.その結果,同地域で歩行用トラクタを使用しているオペレータの身体的特徴を明らかにする事が出来た.また,歩行用トラクタは,主にクボタ,ブリッグス・ストラトン,ヤンマーのエンジンが使用され(36.3%,24.2%,23.4%),エンジン出力は平均6.83kW(SD=2.72),トラクタシャーシはAGSAO,FIMCO,JV Ocampo,SMCが14.5%,14.5%,13.7%,12.1%を占め,シャーシのほとんどがフィリピンブランドであった.また,メカニック的な問題と人間工学的な課題としては,ベルト・チェーンテンションがないなどの不適切な変速機構の破損・損傷による疲労(58.1%),エンジン騒音(48.4%),エンジン始動トラブル(41.1%),ハンドルバーの設計(14.5%),作業機の設計(14.5%)に関する不満が多く,今後改善に取組む必要があることが明らかになった.
    聞きとり調査によるフィリピンの水田地帯での乗用トラクタの操作性評価【英文】 (御手洗正文・シキャット J. C. V.・木下 統・豊満幸雄)
    摘要
    フィリピンの乗用トラクタ作業における人間工学的な諸問題についてオペレータ76名から直接聞き取り調査を行った.また,乗用トラクタの設計要素を人間工学的に検討するための基礎資料としてオペレータの身体計測を同時に行った.調査はフィリピンの水田農業地帯であるヌエバ・エシハ・ムニョスで2001-2003年に実施した.その結果,乗用トラクタのオペレータは男性が100%を占め,使用している乗用トラクタの出力は平均16.55kW(SD=9.26)で,クボタ(63.2%),イセキ(21.1%)が多く,運転経験年数は平均3.3年(SD=5)であった.また,乗用トラクタにおける問題点としては作業機の製作技術と耐久性(85.5%)が上げられ,人間工学的な問題としては運転席への強いエンジン熱放射(86.8%),過酷な太陽光からオペレータを守るための保護カバーの必要性(59.2%),座席設計(47.4%)等であることが明らかになった.
    野菜トラップによるスクミリンゴガイの捕獲効率の向上 (国本佳範・西川 学)
    摘要
    スクミリンゴガイの水田に入っての拾い取りによる捕獲と,水田内に設置した野菜トラップによる捕獲および水田周囲に設置した野菜トラップによる捕獲について,作業時間,捕獲効率を比較した.貝が少なかった水田を除き,拾い取りによる捕獲の作業時間は,10a当たり2時間以上を要し,最も捕獲量の多かった水田では約536分を要した.しかし,1回の拾い取りでの捕獲効率は全捕獲の68.3%に止まり,稚苗移植水稲での要防除水準まで貝密度を減少させるには複数回の拾い取りが必要であった.これに対し,水田内に設置した野菜トラップでは4回のトラップでの捕獲を行うことで要防除水準以下の密度まで貝を減少させることができ,10a当たりの作業時間は約418分だった.水田周囲に設置した野菜トラップでは小規模な水田では13回のトラップによる捕獲で,要防除水準以下の密度にまで貝を減少させることができた.10a当たりに換算した作業時間は約116分で,この方法により短時間で簡単に貝を捕獲できることが示唆された.
  • 第44回講演会・講演要旨(平成20年5月)
  • テーマセッションの記録
    • 有機農業とGAP
    • タイにおけるエネルギ、資源生産研究の動向
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事要旨
    • 通常総会審議内容
    • 役員一覧
    • 会員動静
  • 編集後記

第43巻第1号(通巻第134号) 平成20年3月(オンライン版:平成20年12月)

  • 会 告
    • 日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
    • 日本農作業学会功績賞候補者の推薦依頼について
    • 学会誌の電子化に向けて
  • カレンダー
  • 研究論文
  • 犬によるウンシュウミカンの鳥害防止 (市ノ木山浩道・竹内雅巳)
    摘要
    収穫期に達した5.8aのミカン園を用いて,ウンシュウミカンの鳥害に対する牧羊犬(ボーダーコリー種)の防止効果について調査した.園の四周の一辺に張ったワイヤーに長さ1mの鎖で1匹の犬をつなぎ,犬がワイヤーに沿って自由に動き回ることができるようにした場合は,犬に近接したミカン樹列では鳥害が減少する傾向が見られたが,犬から離れた樹列においては鳥害は軽減されなかった.一方,同じミカン園の四周を金網塀で囲み,園内に1匹の犬を放任した場合は,犬は飛来した鳥を執拗に追跡して追い払い,その結果,園全体に亘って鳥害が軽減された.この方法による果実増収効果は1日当たり約17.5kg/aに相当した.これらのことから,ウンシュウミカンの鳥害防止に牧羊犬を活用する場合,犬をつなぎ止めずに園内に放任することが有効であることが示された.ミカン園の面積当たりの犬の最適頭数や,この鳥害防止法がミカン生産地域のすべてのミカン園に広がった場合の鳥害防止効果については,さらに研究が必要である.
    イネ単作水田の複作化にともなう作物の応答 (坂井直樹・根津久美・林 久喜)
    摘要
    生態系の複雑化を想定した水田において,イネの共存作物として選んだ水面被覆植物の栽植密度を変化させた際の作物の応答を調べた.共存系の作物モデルにはホテイアオイ(Eichhornia crassipes)を供試した.イネの密度を22.2株/m2に統一し,ホテイアオイの密度を22.2,16.7,11.1,5.6,0株/m2とした区に加え,ホテイアオイのみを11.1株/m2で栽植した区の計6区を3反復の乱塊法で設けた.ホテイアオイ密度の増加に対してイネの生育量は減少したが,ホテイアオイの草高は増加した.また吸光係数が増加したことから,両作物間に光競合が生じたと考えられた.さらに,イネのLAIが減少したことで養分競合も生じたと考えられた.ホテイアオイ密度の増加に対して,m2当たり穂数や一穂頴花数が減少し,玄米収量は減少した.ホテイアオイ密度の増加に対して籾収量は減少したが,共存系全体のC・N固定量はホテイアオイの補償作用で増加した.イネの収量減少をある程度覚悟すると,水田生態系における環境保全効果を念頭に置いた新たな展開場面を考えていくことが可能となり,本研究ではそのために必要な知見の一部を得ることができた.
  • 研究報文
  • 無核化処理したブドウ‘藤稔’の果実品質に及ぼす台木の影響 (石川一憲・馬場 正)
    摘要
    本研究では,無核化処理を行ったブドウ'藤稔'の果実品質に及ぼす台木の影響について検討した.異なる4種の台木,'テレキ5BB','SO.4','3309','101-14'に接いで15年間火山灰土壌で生育させた'藤稔'樹を用いて,ジベレリンないしストレプトマイシンで無核化処理を行った果実の肥大,品質について調査した.
    供試樹の中では,'テレキ5BB'台を用いた場合に果粒重,穂軸重が最も大きかった.果汁の糖度はストレプトマイシンとジベレリンで無核化処理を行った場合'テレキ5BB'台と'3309'台で,他の2種の台木よりも有意に高かった.
    これらの結果から,'藤稔'無核栽培においては,'テレキ5BB'台が好適な台木であると思われた.
    普通期栽培における株間の拡大が生育・収量に与える影響-育苗・苗運搬労力 軽減のための水稲疎植栽培- (川崎哲郎・森重陽子・杉山英治・木村浩・杉本秀樹)
    摘要
    水稲の普通期栽培において,条間を30cmとした場合の株間拡大が生育・収量に及ぼす影響を,移植時期別に検討し,育苗・苗運搬労力削減の可能性について検討した.その結果は以下のとおりである.
    1)いずれの品種,移植時期においても,株間の拡大によって1株当りの茎数は増大するが,単位面積当りの茎数は減少する傾向があった.
    2)株間の拡大によって単位面積当りの穂数は減少するが,穂長が大きくなり,1穂当りの籾数が増加する傾向があった.
    3)収量は,「こいごころ」は6月初め,中頃移植では各々株間18cm~45cm,18cm~36cm,「ひめのまい」における6月初め~末の移植は株間18cm~36cm,「ヒノヒカリ」は6月初め,中頃移植では株間18cm~36cmの範囲で大差なかった.
    4)これらの結果から,「こいごころ」,「ヒノヒカリ」を6月初め~中頃,「ひめのまい」を6月初め~末の間に移植する普通期栽培では,苗箱使用量を50%以下に削減でき,育苗・苗運搬作業を大幅に軽減できるものと考えられた.
  • 支部研究会報告
    • 持続可能な農作業システムのためのカバークロップ利用 (関東支部)
    • バイオ由来アルコール燃料の生産・利用をとりまく最新事情 (関東支部)
    • 平成19年度関東支部セミナーに参加して (野田崇啓)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事録
    • 会員動静
  • 第44回通常総会・第43回講演会プログラム
  • 編集後記

第42巻 2007年(平成19年)発行

第42巻第4号(通巻第133号) 平成19年12月(オンライン版:平成21年3月)

  • 会 告
    • 平成20年度春季大会開催について
    • 平成20年度春季大会におけるテーマセッションについて
    • 特集論文課題の募集について
    • 終身会員制度について
  • カレンダー
  • 研究論文
  • 自己組織化マップを用いた多様な有機性資源化物の評価法の検討【英文】 (東城清秀・落合志穂・田中治夫・鈴木創三・渡辺兼五)
    摘要
    近年,多様な有機性廃棄物を再資源化してリサイクルすることが進められている.このような有機性資源化物は分解や無機化が遅く,作物に対する栄養素としての効果が現れにくいことから,時には過剰な量が圃場に施用されている.本論文では,作物栽培試験と成分分析試験によって得られたデータを基に,有機性資源化物の特色と性質を総合的に理解するための評価法とその表示法について検討した.有機性資源化物の肥料として,牛糞堆肥,屎尿汚泥堆肥,屎尿汚泥熱分解物を供試して,化成肥料と比較試験を行った.栽培試験では,有機物の分解率と肥効率を考慮して,関東地区の窒素標準施肥量を基に,その1倍から4倍までの施用量の試験区を設定した.収穫した作物および栽培後の土壌の養分は標準分析法に従って分析した.データの主成分分析から得られる主成分得点によって,供試肥料の特徴を示すことができた.さらに,自己組織化マップを用いることにより,有機性再資源化物を施用した場合の作物への影響や環境負荷の類似性や傾向を,一層視覚的に表現できることを示した.
    挿し木接ぎによるハイブッシュブル-ベリ-の活着と生育に及ぼす台木太さの影響 (石川一憲・馬場 正)
    摘要
    ブルーベリーの挿し木接ぎを,ラビットアイ系品種の'ティフブルー'を台木とし,穂木にハイブッシュ系品種の'ジャージー','スパータン'を用いて行い,台木太さ(4,6,8mm)が活着,発根および苗生育に及ぼす影響について調査した.
    1)萌芽から新梢の伸長停止までの期間は台木が細いほど早かった.また,新梢の伸長停止から二次伸長までの期間は,台木が太いほど早くなる傾向にあった.
    2)地上部新梢の長さや太さおよび節間長は'ジャージー'では,8mmないしは6mm前後の台木を用いた場合が長く,太い新梢になり,乾物重も重かった.
    3)発根率は'ジャージー'では6mmないしは8mm前後の台木が高かった.また,活着率の劣った'スパータン'ではカルス発生が多かった.
    4)挿し木接ぎ苗で発根のよい苗を得るには,通常の挿し木苗で必要な3ヶ月では足りず,それ以上の養成期間を必要とした.
    これらの結果から,供試した品種の組み合わせにおいては,ハイブッシュブルーベリーの挿し木接ぎ苗の活着や生育には6mm程度の台木を用いるのが適当であった.
  • 研究報文
  • ブル-ベリ-の挿し木接ぎにおける台木系統・接ぎ木時期の違いが活着,発根および生育に及ぼす影響 (石川一憲・馬場 正)
    摘要
    ブルーベリーの挿し木接ぎにおける台木系統および接ぎ木時期が活着,発根および生育に及ぼす影響について検討した.
    1)台木系統による活着率の違いを明らかにするため,'バークレー'の穂木をラビットアイ系品種の'ホームベル','ウッダード'ないしはハイブッシュ系品種の'ジャージー','スパータン'に接いだところ,いずれも70%以上が活着したが,穂木・台木を同一とした'スパータン'台は活着率が劣った.発根率は,'ジャージー'台が高かった.新梢生育は,'ウッダード'台が他に比べて短かったが,いずれの台木も4月下旬頃に伸長停止がみられ,二次伸長開始は5月中旬頃からであった.
    2)'ホームベル'台に'スパータン'を接いで接ぎ木時期と台木基部の切り返し時期の違いによる活着率をみたところ,1月中旬に接いで台木基部を切り返してから2ヶ月間冷蔵したものが,挿し木直前や1ヶ月前に接いで冷蔵し当日に台木基部を切り返したものより優ったが,いずれの場合も発根率は低かった.
    これらの結果から,供試した台木の範囲内では,'スパータン'台を除き,いずれの台木も挿し木接ぎに適することが明らかとなった.また,接ぎ木は1月中旬がよく,同時期に台木基部の返し切りを行い,挿し木時まで貯蔵することにより,活着率を高めることが明らかとなった.
  • 支部研究会報告
    • 施設園芸における省力・省エネ・低コスト生産技術と産学官連携 (中国・四国支部)
    • 日本農作業学会中国・四国支部研究会に参加して (相澤正樹)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事録
    • 会員動静
  • 農作業研究 第42巻 総目次
  • 編集後記

第42巻第3号(通巻第132号) 平成19年9月(オンライン版:平成21年3月)

  • 会 告
    • 関東支部セミナー「バイオ由来アルコール燃料の生産・利用をとりまく最新事情」
    • 関東支部ワークショップ「持続可能な農作業システム確立のためのカバークロップ利用」
    • 平成20年度春季大会(第44回通常総会・第43回講演会)開催について
  • カレンダー
  • 巻頭言
    • 因幡にて農作業を考える (山名伸樹)
  • 研究報文
  • 簡易手引除草剤散布機の開発 (佐合隆一)
    摘要
    樹園地や農耕地周辺の雑草管理には,刈払い機などの機械的防除や除草剤の普及により,著しく省力化されたが,水田の雑草管理に比べると依然として重労働な作業となっている.すなわち,除草剤開発に伴う簡便な散布機がないことが,労働軽減化を妨げる要因と考えられる.そこで,噴霧機を背負いではなく,手引にしてその車輪の回転をポンプに直結させて噴霧する簡便なG社製Wheel Pump Sprayersをベースに除草剤専用少水量散布機を開発した.本機は,1)動力にエンジンを使わず,2)散布作業者の軽労働化のために,薬液タンクを背負わずに手引にし,その重力と車輪の回転力をポンプの動力として散布する,3)作業速度と吐出量を除草効果に影響ないように連動させ,25L/10a散布を実現し,4)散布作業者は進行方向の先頭(噴霧口の前)に立つため,薬液の飛散による危険性が少ない,5)単位面積あたり作業時間が短い,などの特徴がある.こうしたことから,果樹園・非農耕地・管理が比較的雑な畑作分野での利用が可能であり,散布機の新しいモデルとして普及拡大の可能性があるものと考えられる.
  • 特集「国際協力の現場で活躍する留学生、邦人技術者」(3)
    • 中国野菜接ぎ木苗生産の発展 (辜 松・姜 凱)
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事録
    • 会員動静
  • 編集後記

第42巻第2号(通巻第131号) 平成19年6月(オンライン版:平成21年1月)

  • 会 告
    • 日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
    • 日本農作業学会功績賞候補者の推薦依頼について
    • 平成19年度秋季大会の開催について
    • 事務局移転のお知らせ
    • 編集事務局移転に伴う原稿送付先変更のお知らせ
    • 平成19年度会費納入のお願い
  • カレンダー
  • 巻頭言
    • 会長再任にあたって (坂井直樹)
  • 原著論文
  • かん水同時施肥栽培におけるキュウリ半促成作型での増加葉数による窒素吸収量の推定 (佐藤達雄・松浦京子・成松次郎・米山 裕)
    摘要
    キュウリ半促成栽培の適量施肥方法を確立するために,施肥窒素の総量を一定にした3種の施肥方法を設定し,それらのキュウリ生育・収量・土壌中硝酸体窒素・窒素吸収量を調査して2週間毎の窒素吸収量を推定するパラメータを検討した.施肥総量を同量とするが,2週間ごとの窒素施肥量を増減させた3区を設けてキュウリを栽培した.その結果,収量や生育には大きな差が見られず,窒素施肥量の一時的な変動に対して土壌は緩衝的に働いた.作物体窒素吸収量と増加葉数には高い正の相関が認められ,窒素吸収量(g/m2/14日)=葉の増加数(/m2/日)×0.0441+2.189(R=0.666,1%水準で有意)の単回帰式が得られた.以上のことから,14日に一度,増加葉数を調べて前記式から吸収された窒素量を推定し,次の14日間の施肥量に反映することにより,施肥効率上昇による窒素施肥量の削減が実現できる可能性が示唆された.
    水田裏作カバークロップの飼料栄養価 (小松崎将一・甲斐良輝・中村 豊)
    摘要
    本研究では水田裏作に栽培した数種のイネ科カバークロップの飼料栄養価について検討し,水田を有効活用したわが国独自のCrop-Livestock system構築の基礎資料を得ようとした.得られた結果の概要は,以下のとおりである.
    1)カバークロップの風乾物中の栄養成分は,カバークロップ種および刈取時期により有意な差異が認められ,これらの交互効果も認められた.一方,土壌窒素レベルによる差異は微小に留まった.
    2)刈取り時期について,4種のカバークロップの平均値をみると粗脂肪含有率は,3月で2.56%に対し,4月では1.67%と減少し,粗蛋白質含有率も同様に3月では19.7%に対し4月では12.1%と減少した.これに対し,粗繊維含有率は3月で14.8%に対し4月では19.3%と増加し,可溶性無窒素物でも3月で45.9%に対し4月で48.7%と増加した.
    3)カバークロップ種別の飼料栄養価を比較すると,粗脂肪,粗蛋白質および粗繊維においては,ライムギ>エンバク=ライコムギ>コムギとなったが,粗灰分では,ライコムギ≧コムギ≧エンバク>ライムギであった.
    4)カバークロップの乾物収量は土壌窒素レベル別に影響を受け,高レベル>低レベルとなった.また,カバークロップ種別では,乾物収量,粗蛋白質収量およびエネルギー収量には年次間差が認められ,2001年ではライムギ>ライコムギ=エンバク=コムギとなったが,2002年ではコムギ>ライムギ=ライコムギ=エンバクとなった.
    5)4月に刈取った作物中のNO3-Nの含量(DM換算)は,75.6~282ppmであり,硝酸塩中毒防止のための対策は必要でないと認められた.
    6)4月に刈取を行ったライムギでは,粗蛋白質含有量が7%前後でありかつ粗繊維含有率も23~26%を示し,市販のチモシー乾草と比較してもほぼ同等の品質を示している.ライムギは,乾物収量およびエネルギー収量とも他のカバークロップより高いことから,飼料用の水田裏作カバークロップとして期待できるものと考える.
    ハーフサイズ角形ベールを2段に積載させる機構とハンドリング装置による作業能率の向上 (住田憲俊・澤村 篤・糸川信弘)
    摘要
    本研究の目的は,ハーフサイズ角形ベール二段積み機構とラップサイロ用ハンドリング機構を用いて,牧草の調製作業能率の向上を図ることである.
    1)ハーフサイズ角形ベール二段積み機構は,プッシュアーム,プレート,回転支点,ローラ付き固定支点から構成され,ロールベーラ用リフトアーム式ベールラッパのリフトアームに取り付けることで機能を発揮する.その効果は,従来作業に比較した作業能率の向上やラップフイルムの安定した巻き付けによりサイレージ発酵品質の低下を防止できると考えられた.
    2)ラップサイロ用ハンドリング機構は,マスト,上部押えアーム,下部押えアーム,アームストッパ,ローラ,油圧シリンダにより構成されており,トラクタに装着したフロントローダあるいはフォークリフトに取り付けることができる。ストレッチフイルムで密封被覆した角形ラップサイロのフイルム破損を発生させず,荷降ろし等の取り扱い操作ができる.
    乗用型トラクタによるリバーシブルプラウ作業の習熟過程に関する人間工学的研究【英文】 (M. ファイズ シュアイブ・森泉昭治・清水 浩)
    摘要
    本研究は初心者と熟練者のトラクタ操作技能に関する基礎的データを求め,初心者教育や作業安全に役立てる目的で始めたものである.本論文では,乗用型トラクタによるプラウ耕うん作業における運転者の生理的負担,作業精度および動作時間の測定データを用いて,トラクタ操作の習熟過程を人間工学的視点で考察した.なお,本報では被験者を熟練者,普通自動車免許所有の初心者(免許所有初心者),普通自動車免許無しの初心者(無免許初心者)に3区分し比較・検討した.
    プラウ耕うんのトラクタ操作において,生理的負担(心拍数増加率,RMR)は初心者と熟練者間で総体的な差異が認められなかった.ただし,無免許初心者の場合,実験回数3回まで心拍数増加率が他の被験者に比べ明らかに高い値を示した.
    作業誤差(直進性偏差,耕うん開始・終了位置誤差)は,無免許初心者が最も大きく次いで免許所有初心者,熟練者の順であり,これらの三者間に大きな差異が認められた.初心者の場合,普通自動車の運転経験が耕うん作業のトラクタ操作に役立っていることが検証された.また,前記の3種類の作業誤差値と作業回数の関係より,プラウ耕うん作業においてトラクタの直進性を向上させることが初心者にとって最も困難であることが分かった.初心者が直進性偏差で熟練者レベルに達するには65~68時間を要すると推察される.また,プラウ耕うん作業の生理的負担と作業誤差の諸測定結果より,初心者の習熟過程は2段階に分けうると判断された.そして場合によっては,第2段階(免許所有初心者:約3時間以降,無免許初心者:約43時間以降)の練習は,自習でもよいと考察される.
    トラクタの旋回所要時間では,3区分の被験者間で前記の作業誤差と同様に明確な相違が認められた.免許無しの初心者が当然最も長い旋回時間であるが,その主な原因はギヤーチェンジやプラウ反転操作を含む後退時にあった.
    水稲栽培試験における収量計測コンバインを利用した収量比較法 (庄司浩一・小林伸哉・堀尾尚志・川村恒夫)
    摘要
    収量計測コンバインを用いて水稲栽培試験における収量評価を行なう方法を提示し,事例として約0.5haの同一水田内に設定した疎植区(株間30cm)と対照区(株間23cm)との収量比較を収量計測コンバインを用いて水稲栽培試験における収量評価を行なう方法を提示し,事例として約0.5haの同一水田内に設定した疎植区(株間30cm)と対照区(株間23cm)との収量比較を行なった.コンバインで計測したデータは母集団を表しているとみなして収量比較の方法を検討した.
    1)供試水田では,母集団の大きさと正規性を担保する観点から,収量比較のための小区画の寸法は5m×6mないしは10m×3mが適切と判断された.
    2)供試水田の低地部ほど収量が高い傾向が認められたので,高低差と収量の回帰を行なって高低差の影響を除去して比較するか,高低差の範囲を限定した母集団を用いる等の工夫が必要であった.供試水田で高低差の範囲を限定する場合は,上記1)と同様の理由により,±15mmが適当と判断された.
    3)上記1)および2)の条件下で母集団を作製して収量の比較を行なうと,疎植区と対照区との収量差は有意ではなかったと結論づけられた.
  • 研究論文
  • 北陸地域における秋播きカバークロップのバイオマス生産と雑草抑制 (荒木 肇・波田野義文・堀元栄枝・藤井義晴・伊藤道秋)
    摘要
    北陸地域においてカバークロップを導入した生産体系を確立するために,1998年と1999年の秋季にイネ科(コムギ,オオムギ,野生エンバク,ライムギ),マメ科(ヘアリーベッチ,コモンベッチ,クリムソンクローバ)およびアブラナ科(レープ)のカバークロップを播種し,翌年春季のバイオマス生産と雑草抑制およびカバークロップ残渣マルチ圃場での作物生産について調査した.
    1999年の刈り倒し時の地上部バイオマス(AGB)はライムギとヘアリーベッチで大きく,それぞれ10aあたり646kgと591kgの乾物重を示し,多量の有機物が圃場に投入された.特に,ヘアリーベッチは乾物あたり4.2%の窒素を含有し,24kg/10aの有機態窒素が圃場に投入された.ヘアリーベッチは地表面を完全に被覆したが,コモンベッチの被覆は不完全であった.刈り倒し後に,ライムギの切り株から萌芽が見られた.また,コムギ,オオムギおよびクリムソンクローバ圃場では落下した子実からの発芽によりリビングマルチが形成された.これらのカバークロップのデッドマルチを形成するには早期の刈り倒しが必要であった.イネ科カバークロップのAGBは1999年と2000年で大きな差異はなかったが,2000年のヘアリーベッチのAGBは積雪期間が長かったために,1999年のそれより著しく減少した.
    両年ともカバークロップ残渣マルチはマメ科よりイネ科で維持され,特にライムギと野生エンバクで残存率が高かった.カバークロップ残渣マルチ圃場での雑草の発生量と生長は,対照とした耕起圃場より少ないか同程度であった.ヘアリーベッチマルチ圃場では雑草発生量は少なかったが,発生した雑草の乾物重は耕起圃場より大きくなった.レタスの乾物重はヘアリーベッチとコモンベッチまたは野生エンバクのマルチ圃場で耕起圃場より有意に大きくなった.
    以上の観察から北陸地域において秋播きマメ科カバークロップとしてはヘアリーベッチがバイオマス生産と夏作物の生長促進から有望であるが,雑草抑制効果はマルチ形成後約1.5か月間であった.積雪下で越冬しても春季の生存率を向上させる技術が必要である.イネ科ではライムギがバイオマス生産と雑草抑制の視点から有望であるが,切り株からの萌芽を抑制する技術が必要であった.
    飼料イネ専用収穫機体系の作業能率向上のためのシミュレーション (元林浩太・湯川智行・佐々木良治)
    摘要
    フレール型の専用収穫機と自走式ベールラッパ各1台による作業体系を想定して簡易なシミュレーションモデルを開発し,飼料イネのダイレクト収穫における作業時間の短縮・効率化の方策を検討した.
    1)開発したモデルは,作業経路シミュレーションと作業時間シミュレーションの2つのモジュールで構成され,圃場区画や作物密度,作業経路等の条件設定値を変えた様々なシミュレーションが可能となった.
    2)実作業の作業時間解析を行い作業機の固有作業能率等のデータ収集を行った.この結果を用いて,圃場内でのロールベール運搬に関する両機の分担・連携条件と作業の効率化について解析が可能となった.
    3)開発した本モデルは,表計算ワークシートとマクロプログラムで構成されるため,解析の目的に応じてモデルの改良・拡張が容易である.
  • 第42回 講演会・講演要旨(平成19年3月)
  • テーマセッションの記録
  • 本会記事
    • 常任幹事会議事録
    • 総会資料
    • 会員動静
  • 編集後記

第42巻第1号(通巻第130号) 平成19年3月(オンライン版アーカイブ:平成22年2月)

  • 会 告
    • 平成20年度日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
    • 平成20年度日本農作業学会功績賞候補者の推薦依頼について
    • 平成19年度秋季大会の開催について
    • 平成19~21年度の新しい事務局・編集委員会・学会賞選考委員会連絡先について
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  • 本会記事Ⅰ
  • 原著論文
  • 半促成キュウリのかん水同時施肥栽培における葉数をもとにした窒素施肥技術 (佐藤達雄・松浦京子・高柳りか・米山 裕)
    摘要
    半促成キュウリ栽培において2週間ごとの抜き取り調査によって得られた,抑制キュウリの葉の増加枚数と窒素吸収量の関係式:窒素吸収量(g/m2/14日)=葉の増加枚数(枚/m2/14日)×0.0441+2.189をかん水同時施肥栽培における施肥基準として利用できるか否かを検討した.その結果,定量施肥による管理に比べて同等の収量を確保しながら窒素施肥量は24%減の31.9g/m2に抑えられた.つぎに,葉数の増加特性が異なる5つの仕立て方で本推定式の適応性を検討したところ,仕立て方によって収量差が見られたものの,窒素施肥量は27.4から29.2g/m2の間となり,定量施肥を行ったときに見込まれる施肥量46.2g/m2に対して38から41%の削減となった.以上のことから,葉数による窒素吸収量推定式はかん水同時施肥栽培における簡易窒素施肥指標として実用可能と考えられた.
    オカボ栽培でのカバークロップの利用と耕うん方法が土壌物理性に及ぼす影響 (牟 英輝・小松崎将一・森泉昭治・辜 松・荒城雅昭・荒木 肇・平田聡之)
    摘要
    冬作カバークロップの利用と耕うん方法がオカボ栽培期間中の土壌硬度分布に及ぼす影響を検討した.実験は茨城大学附属農場において2002年9月から2004年10月まで実施した.結果は以下の通りである.
    1)土壌含水比は,耕うん方法により有意な差異を示した.部分耕では,耕地表面の撹乱程度が低く,土壌乾燥密度が高いために,土壌水分の蒸発を抑制し,土壌含水比が高くなったものと考えられた.また,プラウ耕とロータリ耕では部分耕に比べて土壌含水比は低い値を示した.また,カバークロップの種類によってオカボ栽培期間中における耕地の残渣被覆率は異なった.特に,部分耕ライムギ区で被覆率が高く,かつ高い土壌含水比を示した.
    2)耕うん方法は土壌乾燥密度に有意な影響を与え,部分耕>プラウ耕>ロータリ耕の順で土壌乾燥密度が低下した.しかし,カバークロップの作付けの有無が土壌乾燥密度に及ぼす影響は微少に留まった.
    3)耕うん方法は土壌硬度に有意な影響を与え,土壌硬度はプラウ耕<ロータリ耕く部分耕で増加した.また,カバークロップを導入すると,それぞれの耕うん方法において土壌硬度が低下し,裸地くヘアリーベッチ<ライムギで土壌硬度が低下することが認められた.
    4)以上の結果から,土壌硬度は耕うん方法以外にカバークロップの利用によって影響を受けることが認められた.このことから,カバークロップの利用は,土壌硬度の増加が問題となる不耕起栽培などで有効に活用されるものと考えられた.
  • 研究論文
  • 水稲の有機栽培水田における土壌養分の特性 (佐合隆一・小林 久)
    摘要
    水稲の有機栽培や特別栽培は,食の安全性を確保し,環境負荷を低減すると一般的には考えられている.しかし,作物生産を持続的に行うためには,作物生産に伴う土壌からの肥料成分の減少を補充するために,化学肥料や化学肥料に代替する資材を継続的に投入する必要がある.有機栽培での投入資材成分は,作物生産に伴って収奪される肥料成分と必ずしも合致しないために,土壌中の肥料成分の過不足を生じ,生産性に影響を及ぼすことも報告されているが,その実態は必ずしも明らかではない.
    本研究では,2004年に有機栽培8農家および特別栽培2農家の水田および隣接する慣行栽培の6水田など19水田から土磁壌を水稲収穫後から翌年の入水前に採取し,その土壌中の栄養成分について分析した.全N含量および全C含量は1991年の土壌保全調査事業の結果とほぼ同様であり,栽培法による違いが認められなかった.また,いずれの土壌においてもCN比は12前後と一定であった.慣行栽培水田に比べ,有機栽培水田の全N含量が多い場合でも,環境負荷が問題となる無機態N含量は少ない傾向が認められた.しかし,交換性CaO,交換性MgOは,有機・特別栽培水田の方が慣行栽培水田に比べ多かった.また,交換性K2O含量,交換性P2O5,CuO,Mn,ZnO含量は,栽培法の違いによる差は認められなかった.また,交換性CaO,交換性MgO,交換性K2Oの含有量は高く,土壌中に蓄積してきているものと推定された.今後有機物施用量についてもEUと同様に施用量を土壌診断により制御する必要があると考えられた.
  • 研究報文
  • サトウキビ生産法人に集積された圃場の分散が生産性に及ぼす影響-地理情報システムを用いた分析- (鹿内健志・南 孝幸・官 森林・上野正実)
    摘要
    沖縄県におけるサトウキビ生産の担い手として設立が推進されたサトウキビ生産法人は,圃場分散と土地生産性の低さの問題を抱えている.サトウキビ生産法人の圃場は広域に分散しており,作業効率が低下し適期作業に大幅な遅れが生じている.また,単収は県の平均単収を下回っているのが現状である.本研究では集積された農地の分散を示す地理的な指標をGISにより解析し,これらの指標と単収との関係を調査し,圃場分散が生産性に及ぼす影響を検討した.分散を表す地理的な指標として周囲圃場面積,事務所からの距離,圃場面積の3つの指標を提案したが,周囲圃場面積と単収については正の相関があり,事務所からの距離と単収については,負の相関があることが示され,圃場分散がサトウキビ収量に影響を及ぼしている可能性があると示唆された.
    茨城県南におけるニホンナシ園の施肥実態と土壌中肥料成分 (佐合隆一・杉森ちひろ・小林 久)
    摘要
    茨城県は,県西・県南地域を中心にニホンナシの栽培が盛んに行われており,特に幸水に関しては生産量,面積共に全国一位である.しかし,近年高樹齢化が進み,樹勢や収量は低下し,それを補うため施肥量や施肥回数を増加してきている.そこで,茨城県南のナシ園における施肥管理状況及び土壌を分析し,その実態と施肥管理改善策を明らかにするために調査を行った.
    調査圃場の平均樹齢は幸水で28年,豊水は26.5年であった.調査農家の化学肥料施用量は,県の施肥基準を超えている農家が多かった.さらに,有機質肥料および堆肥化資材を大量に施用している実態が明らかとなった.また,施肥量と収量との問には相関が認められず,施肥量の増加が収量には必ずしも結びついていないことが示唆された.
    次に,窒素施用量と土壌中の無機態の窒素濃度の問には,一定の関係が認められず,土壌中の無機態窒素は,水分の移動に伴い系外へ流亡していることが考えられた.一方,リン酸カリの場合,有機肥料のこれら成分の施用量と土壌中濃度については相関が認められ,これら成分の土壌中の保持力は維持されているが,その濃度が土壌改良目標値を大幅に上回っていた.これまで,堆肥化資材は養分源として位置づけられず,養分放出量を考慮しないケースが多かったが,本調査結果から見られるように,土壌中濃度の改善にあたっては,化学肥料よりも,堆肥化資材を中心に有機肥料の施肥量削減が有効と考えられた.
  • 特集「国際協力の現場で活躍する留学生、法人技術者」
    • Study on Organic Sweet Corn Production and Marketing for Agro-Industry (Thawansak PHAOSANG, Opal SUWUNNAMEK)
  • 情報
    • 農作業デ-タ集 (金谷 豊)
  • 平成19年度日本農作業学会春季大会第43回通常総会・第42回講演会プログラム

第41巻 2006年(平成18年)発行

第41巻第4号(通巻第129号) 平成18年12月(オンライン版アーカイブ:平成22年2月)

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  • 原著論文
  • 発電所取水設備で回収される海洋性塵芥のコンポスト処理システムにおける一時貯留装置の導入 (河合秀樹・澁澤 栄)
    摘要
    取水設備から発生する廃棄物を対象としたコンポスト化処理システムについて,実設備化にあたり発生する問題の一つである廃棄物発生状況と,システムとを適合させるための検討を行った.
    本システムに求められる処理能力は供給廃棄物のヒストグラムを参考にして決定した.この制約条件の能力を最大にするため,直前に一時貯留装置を設けることとし,その容積は供給する廃棄物の変動成分と制約条件の最高能力から決定した.その結果,発酵装置の容積が2m3/日,一時貯留装置の容積が5m3,で適切であると判断された.
    本システムで必要と判断された一時貯留装置は非均一のレオロジー物体であり,貯留装置の構造検討が必要である.一時貯留装置の構造について実験を行い,構造を検討した結果,円筒形で直径を2.Om,一段の高さを0.5mとし5段から構成する必要があると判断された.
    早期栽培における株間の拡大が生育・収量に及ぼす影響 -育苗・苗運搬労力軽減のための水稲疎植栽培- (川崎哲郎・森重陽子・杉山英治)
    摘要
    水稲作において多大の労力を要している育苗・苗運搬労力を軽減する方策の一つである疎植栽培について,早期栽培における条間を30cmとした場合の株間拡大が生育・収量に及ぼす影響を,移植時期別に検討した.その結果は以下のとおりである.
    1)いずれの移植時期においても,株間の拡大によって1株当りの茎数は増大するが,単位面積当りの茎数は減少する傾向があった.
    2)株間の拡大によって単位面積当りの穂数は減少するが,穂長が大きく,1穂当りの籾数が増加した.その結果,単位面積当りの籾数は,4月下旬移植は株間15cm~38cm,5月中旬及び6
    月上旬移植では株間15cm~30cmの範囲において大きな差はなかった.
    3)収量は,単位面積当たり籾数とほぼ対応した関係を示し,4月下旬移植は株間15cm~38cm,5月中旬及び6月上旬移植では株間15cm~30cmの範囲で大差なかった.
    4)安定した収量を得るためには,穂数290本/m2,茎数310本/m2以上確保することが必要であった.
    5)これらの結果から,苗箱使用量は,4月下旬に移植作業を行う場合は40%,5月中旬~6月上旬移植では50%に削減でき,育苗・苗運搬作業を大幅に軽減できるものと考えられた.
  • 研究論文
  • 背負い板形両肩掛け式ベルトによる中山間地水田畦畔刈払い作業負担の軽減 (唐橋 需・三竿善明)
    摘要
    本研究は,中山間地にある水田畦畔の草刈に多く使用される手持ちループハンドル式刈払機の作業負担の軽減を図ることを目的とする.そのため,背負い式刈払機に使用されているエンジン搭載用背負い板式両肩掛けベルトから2本のゴムロープでV字状に刈払機を吊るす方法(背負い板形両肩掛け式,以下,両肩掛け式と称す)を2002年に考案した.以後4年間,改良を加えつつ作業負担軽減効果の比較方法について研究してきた.得られた知見を要約すると,以下のとおりである.
    1)作業時間(h/10a)と心拍数増加率(%)の間には反比例的関係のあることが実証された.
    2)作業負担軽減効果の比較に当たっては,同一作業者における累乗近似曲線間の差で行うのが望ましいと考えられた.
    3)両肩掛け式は手持ち式に比較して,心拍数増加率で10%程度の作業負担軽減効果があった.
    4)両肩掛け式による作業負担軽減効果は,ゴムロープを使用した時の背負い式とほぼ同等であると考えられた.
    5)以上より,両肩掛け式は手持ち式における作業姿勢の自由性を損なうことなく作業負担の軽減を図れることが明らかになった.
  • 研究報文
  • カバーマルチ不耕起圃場の土壌硬度と機械播種したダイズの初期生長 (荒木 肇・石本光明・松尾信由・伊藤道秋)
    摘要
    新潟大学農場にヘアリーベッチ(以下HV)とオオムギをカバークロップとして1999年10月より作付けた.翌年6月29日にHVはロータリーモアー(刈払い機)とローラー鎮圧により、オオムギはレシプロモアーとフレールモアーで刈り取り,植物残渣マルチを形成した.植物残渣マルチ不耕起圃場の土壌硬度は無マルチ・不耕起圃場より低下したが,マルチにより差異が認められ,特にロータリーモア・HV残渣マルチ圃場の表層の土壌硬度が低かった.オオムギ残渣マルチ圃場では土壌表層が硬く,植溝が形成されず,土中に入らない種子が多数見られた.HV残渣マルチ圃場では2-3cm深さの植溝が形成されて種子もその中に入ったが,覆土が不充分であった.HV残渣が多い地点では,残渣は切断されたものの、植溝形成が不充分なことも観察された。カバークロップ残渣マルチ圃場でのダイズの株立ちは無マルチ・耕起圃場の50-60%であった。ロータリーモア・HVマルチ圃場のダイズは耕起圃場のそれに近い生育を示し,土壌表層の低硬度とHV残渣からの窒素供給によると考えられる.HV残渣マルチと土壌の切断は可能であり,播種機には確実な覆土機構の確立が重要である.
  • 特集「国際協力の現場で活躍する留学生、法人技術者」
    • Problems in Adopting Agricultural Machinery: A Case Study for Agricultural Mechanization in Bangladesh (Tofael Ahamed)
    • スリランカのインド洋津波被害と機械復興支援活動の事例 (大石常夫)
  • 本会記事
  • 農作業研究 第41巻 総目次

第41巻第3号(通巻第128号) 平成18年9月(オンライン版アーカイブ:平成22年2月)

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    • 平成19~21年度評議員選挙投票依頼
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  • 総 説
    • 水田からの温室効果ガス発生を抑制する農作業技術 (南川和則)
  • 原著論文
  • 農作業安全教育コンピュータソフトウェアの開発 -第1報 乗用トラクタでの春の耕うん作業編の構成要素設計- (米川智司・石川文武・菊池 豊)
    摘要
    農業機械作業事故分析等の各種統計分析に基づいた,農作業安全教育コンピュータソフトウェアの試作版用シナリオと,事故を臨場感ある疑似体験するための3次元コンピュータグラフイックス(3DCG)用のトラクタ及びロータリの精巧な3Dモデルを作成した.
    シナリオの全体構成は,農作業事故頻度が高い乗用トラクタの作業として一般的と考えられる,エンジン出力15~22kW程度で,可倒式安全フレーム仕様の乗用トラクタによるロータリ耕うん作業を,1日の時系列でストーリー化した.事故の種類としては,トラクタの転落・転倒に重点を置きながら,道路上での自動車との衝突や挟まれ等を,また道路については,幅員が比較的狭い未舗装農道,幅員が比較的広い舗装農道,幹線道路,及びトンネル部分と多様な設定をした.
    シナリオ中の各項目を,評価項目と非評価項目に分け,評価項目では,農作業安全意識に関連する項目を4段階に重み付けした.さらに,これらの各項目のチェック内容について,事故誘発要因性と健康維持要因性の観点から,正解に対する優良評価と,不正解に対する警告または注意喚起の両面において,それぞれ3段階の重み付けを行った.
    トラクタとロータリの3Dモデルは,数種の市販機を参考にして作成した.とくに,トラクタの3Dモデルでは,計器類とレバー類等の操作装置が識別しやすいように,JIS規格で定められているマークと日本語文字を併記した.
  • 研究論文
  • 有機型牛乳生産システムの環境負荷に関する検討 (東城清秀・木村 緑・渡辺兼五)
    摘要
    富士宮市の2戸の酪農家を中心にして飼料工場や乳業工場を調査し,牛乳生産工程における環境負荷について検討した.生産形態の異なる2戸の酪農家を比較しながら,投入労働量,エネルギー消費量とCO2排出量,農家の生産段階における窒素とリンの収支について比較した.その結果以下のことが明らかとなった.有機型生産で自家飼料を利用している生産形態Aではサイレージを給餌しているため,給餌に係わるエネルギー消費量とCO2排出量が購入飼料中心の生産形態Bに比べて大きい.また,生産形態Aでは家畜糞尿を所有する牧草地等に散布できるようにするため,固液分離と曝気処理しており,生産形態Bの堆肥化処理に比べてエネルギー消費量とCO2排出量が大きい.酪農家での窒素とリンの流入と流出の差を環境負荷とすると,2つの生産形態ともほぼ同程度の環境負荷であり,有機型生産を目指す生産形態Aにおいても牧草地等での窒素やリンの累積と環境への流出が懸念される.牛乳の有機型生産を進めるためには,地域全体で窒素やリンのバランスを考慮し,資源循環機能を維持発展できるような生産システムの整備が必要である.
  • 見学会報告
    • 日本農作業学会関東支部協賛「精密畑作」研究成果展示会に参加して
  • 本会記事

第41巻第2号(通巻第127号) 平成18年6月(オンライン版アーカイブ:平成22年2月)

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  • 再 告
    • 日本農作業学会学術賞・学術奨励賞候補者の推薦依頼について
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  • 巻頭言
    • 平成18年度春季大会の雑感 (森泉昭治)
  • 原著論文
  • 水稲生育予測モデルを利用した飼料用イネの播種・収穫作業計画の支援ツール (佐々木良治・松村 修・湯川智行・元林浩太)
    摘要
    1)稲発酵粗飼料向け水稲品種クサユタカと北陸187号(後の夢あおば)の出穂期は,発育速度と日平均気温との間に非線形の関係を用いたモデルや気温の日較差を考慮したモデルにより精度よく推定できることが明らかとなった.
    2)さらに,苗立密度と到穂日数との間に2次曲線をあてはめ,これを出穂期予測モデルに組み入れることにより,クサユタカと北陸187号の広範な苗立密度を対象とした出穂期の予測が可能となった.その予測誤差は1.6~1.9日であった.
    3)飼料用イネの黄熟期を収穫期として平年気象値から推定した結果,コシヒカリの移植と同時期にクサユタカを播種した場合,両品種の収穫期には数日間の差しかないと推測されたことから,収穫作業の競合が生じる可能性が示唆された.一方,北陸187号の収穫期までの日数は,クサユタカよりも短いことから,コシヒカリの移植と同時期に播種しても収穫作業の競合の可能性は低いと推測された.
    4)飼料用イネと大麦との2年3作体系を成立させるために,コシヒカリの収穫作業や大麦の播種・収穫作業と競合の生じない作付計画を効率的に作成するための支援ツールを生育予測モデルを活用して開発した.
  • 研究資料
    • 自走式果樹作業台車の開発と作業改善 (野澤正雄)
  • 第41回 講演会・講演要旨(平成18年3月)
  • テーマセッションの記録
    • 平成18年度日本農作業学会春季大会を終えて (鈴木光太郎)
  • 本会記事

第41巻第1号(通巻第126号) 平成18年3月(オンライン版アーカイブ:平成22年2月)

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  • 原著論文
  • セル成型苗育苗における播種後のミスト灌水処理がホウレンソウの出芽に及ぼす影響 (高田健一郎・藤原隆広・熊倉裕史・吉田祐子)
    摘要
    1)ホウレンソウのセル苗育苗における播種後のミスト灌水処理時の灌水量が出芽に及ぼす影響を検討した結果,セル苗育苗用培養土では播種後の灌水量を200穴トレイ当たり200ml程度とすることで,90%程度の高い出芽率が得られた.また,底面給水による多灌水処理では出芽率が大きく低下した.
    2)70%程度であった連続25℃条件下での出芽率は,播種後ミスト灌水してから3日間発芽適温環境(15~20℃)に置くことで20%程度増加した.
    3)発芽適温環境下(平均気温19.1℃)での最適ミスト灌水量は種子の種類によって異なった.1トレイ(200穴)当たりの播種後の最適ミスト灌水量は,無処理種子(果皮の付いたも
    の)と浸種した無処理種子で100~400ml,プライマックス種子で200ml,ネーキッド種子で400~800mlであった.
    ホウレンソウセル成型苗を利用した移植栽培への電動型半自動多条移植機械導入による労働負担軽減効果 (藤原隆広・亀井雅浩・内藤和男・熊倉裕史・高田健一郎・吉田祐子・窪田 潤)
    摘要
    ホウレンソウの雨よけハウスでのセル苗移植栽培に適した電動型半自動多条移植機を試作した.この移植機は,質量が約50kgと軽量で条間15cmで4条植えが可能であり,2人組の作業に最適化して作られている.試作した移植機の利用により,手植えの場合と比較して移植作業能率を同等以上にまで高めることができ,作業姿勢を改善して筋骨格系への労働負担が大幅に軽減された.移植機の利用により移植時の体幹角度からみた作業負担が改善された.また,その際の体幹角度は身長により異なった.移植機の利用が心拍数増加に及ぼす効果は作業者の特徴により異なった.
    電動型半自動多条移植機を利用したホウレンソウセル成型苗移植栽培技術確立のための 2,3の栽培的知見 (藤原隆広・亀井雅浩・内藤和男・熊倉裕史・高田健一郎・吉田祐子・窪田 潤)
    摘要
    電動型半自動移植機を用いたホウレンソウセル苗移植栽培技術の確立を目的にいくつかの栽培試験を行った.移植機を用いた移植栽培により夏期の生産性が向上し,在圃期間を晩秋期で70%,冬期で50%に短縮できた.セル苗を用いたホウレンソウの移植栽培では,浅植えになることで収量と収穫時の外観が大きく低下した.砕土率の違いによる適正移植株率の低下はすべて浅植え株の発生によるものであった.移植精度の低下は(浅植え株率の発生)は,土塊径を9.5mm以下とすることで解消することができた.移植前の底面給水によって根鉢含水率を高めることで,苗の引き抜き成功率が高まった.2粒播種により根鉢形成率と引き抜き成功率が高まった.
    重粘土壌におけるトラクタ作業の所要動力測定システムの開発 (深見公一郎・杉本光穂・新里良章)
    摘要
    圃場排水対策に利用する心土破砕機および溝堀機のジャーガル地域土壌における適用可能条件を明らかにするために,トラクタの姿勢と作業深さをあわせて計測する所要動力測定システムを開発し,その妥当性について検討した.以下な主な結果を示す.
    (1)本計測システムは,所要動力を測定する3点リンク式けん引抵抗計とトルクメータ,作業状態を測定する傾斜計と超音波距離計,データを記録・表示する多チャンネルデータロガとノートパソコンから構成される.
    (2)試作したけん引抵抗計は,水平負荷0~30kNにおいて最大鉛直力5kNおよび最大モーメント20kN・mの範囲で誤差率5%以内であった.
    (3)トレンチャ作業に本測定システムを用いた結果経時的にけん引抵抗,PTO所要動力,作業深さ,傾斜を同時に計測・記録でき,作業状態と所要動力との局所的変化を把握することができた.
    今後は,様々な作業条件および土壌水分条件におけるデータを蓄積して,ジャーガルにおける土破砕機および溝堀機の適用可能条件を明らかにしていく.
  • 平成17年度日本農作業学会秋季大会報告
  • 農作業学会関東支部セミナー報告
    • バキュームカー開発についての記録「回顧録」 (野澤正雄)
  • 本会記事
  • 第42回通常総会・第41回講演会プログラム
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