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主催・協賛・関連行事2023年度日本農作業学会学術奨励賞選考結果

 日本農作業学会学術賞選考委員会(長崎裕司委員長他委員3名)は,学会誌第57巻第1号の会告に基づいて会員から推薦のあった候補者1名の業績について,2022年の8月から10月にかけて,メール審議により慎重に審議を行った結果,以下の業績は2023年度の日本農作業学会学術奨励賞の授与に値するものと判断した.受賞業績および受賞理由は以下の通りである.

2023年度日本農作業学会学術奨励賞


受賞者(所属):国立卓生(農研機構東北農業研究センター)

受賞業績: ジャガイモの単収増加を目指した国内製プランタによる植付け技術の開発

受賞理由:
 ジャガイモは,北海道の畑作地帯においてコムギ,テンサイ,豆類と並ぶ主要4品目の一つであるが,単収は2000年頃をピークに低下してきており,作付面積も減少してきている.国産ジャガイモの安定供給のためには単収の向上が不可欠である.国立卓生会員は,集約的な栽植様式として知られる千鳥植え栽培に着目し,国内のジャガイモ生産農家に広く普及している国内製ポテトプランタに後付けで行える千鳥植え技術を開発すると共に,培土作業の省力化と品質向上を目的に,植付け作業と培土作業の一工程化を図った。植付け作業と培土作業を一体化することで,培土作業の省力化を図りつつ,慣行法が低収年だった年にも安定した収量を確保し,慣行法と変わらない品質の確保を可能にした.
 これらの一連の成果は,国産ジャガイモの単収向上並びに品質の維持に大きく貢献するものであり,今後,国産ジャガイモの供給を安定化させる上で極めて有用である.研究成果は「農作業研究」に2報の論文として掲載された.これらの業績は,現地への普及促進やバレイショ栽培技術の更なる発展につながると期待できることから,今後のジャガイモ生産に大きく貢献できると評価できる.
 以上の理由から,国立卓生会員の業績は日本農作業学会学術奨励賞の授与に相応しいものと判断した.

主催・協賛・関連行事2023年度日本農作業学会優秀地域貢献賞選考結果

 日本農作業学会優秀地域貢献賞選考委員会(長崎委員長他委員3名)は,学会誌第57巻第1号の会告に基づいて会員から推薦のあった候補者1名の業績について,2022年の8月から10月にかけて,メール審議により慎重に審議を行った結果,以下の業績は2023年度の日本農作業学会優秀地域貢献賞の授与に値するものと判断した.受賞業績および受賞理由は以下の通りである.

受賞者(所属):佐竹寛之(奈良県立奈良西養護学校)

受賞業績: 障害者が自立的に農作業を行うための支援と実践

受賞理由:
 佐竹寛之会員は,知的障害者が農業に従事する際に,実施できる農作業が限られることが農福連携を進めるうえでの課題とし,この課題解決に向けて実践的に取り組んだ.現状分析を実施した結果,慣行農法では,作業内容に関する知的障害者の理解が難しいこと,理解不足や不器用さから作業精度が低いことなどを明らかにした.次に佐竹会員は,特別支援学校高等部の生徒を対象とし,知的障害者が自立して作業を行えるように,作業工程を1動作まで細かく分解して解析する素工程分解法を適用し,その有効性を検討した.更に,知的障害者にとって適切な農作業方法の設計・設定手法を開発し,その有効性を示した.これらの知見は,農福連携の場面での農作業改善に大きく貢献できるものと考えられ,今後,農福連携の拡大や労働力不足の緩和等への貢献が期待される.研究成果は「農作業研究」誌で3報の論文として報告され,地域社会への貢献のみならず,本学会の活性化と新たな研究領域の拡充にも貢献した.また,開発手法を奈良県の在来野菜である「大和まな」「大和今市かぶ」や特産作物である「大和いも」などの栽培・生産などに適用し,地域組織や自治体との連携を強めるなど,地域農業の推進にも大きく貢献した.
 以上の理由から,佐竹寛之会員の業績は日本農作業学会優秀地域貢献賞に相応しいものと判断した.

主催・協賛・関連行事2023年度日本農作業学会功績賞選考結果

 日本農作業学会功績賞選考委員会(長﨑裕司委員長他委員3名)は,学会誌第57巻第1号の会告に基づいて会員から推薦のあった候補者1名の業績について,2022年の8月から10月にかけて,メール審議により慎重に審議を行った結果,以下の業績は2023年度の日本農作業学会功績賞の授与に値するものと判断した.受賞業績および受賞理由は以下の通りである.

2023年度日本農作業学会功績賞

受賞者: 深山大介(農研機構農業機械研究部門)

受賞業績: 学会運営に関する貢献,特にWEB選挙制度の導入と新型コロナウイルス禍の中での大会運営

受賞理由:
 深山大介会員は,2019~2020年の選挙管理委員長として学会活動の根幹である選挙制度の改革に尽力するとともに,2021~2022年には企画委員長として当該年度の大会企画を主導してコロナ禍における開催形態や運営方法の検討を行うなど,本学会の運営に大いに貢献した.特にWeb投票システムi-Voteの導入により投票率が向上すると共に,選挙管理員会の大幅な負担軽減にもつなげた.その実現に向けては関連情報の収集と慎重な検討を行い,理事会における新たな選挙制度への移行に関する議論を主導した.また長野県で開催された2022春季大会では,新型コロナウイルス感染拡大の第6波の状況を受け,当初の対面開催からハイブリッド開催に切り替えられる中で,現地の大会委員長を支援して準備や実施を円滑に進めるなど役職に求められる運営手腕を発揮した.
 その他,深山会員は2016~2018年にはデータ集作成委員長として,Webを利用した情報収集・発信にも努めるなど,複数期にわたり学会運営に主体的に関与した功績は大である.
 以上の理由から,深山大介会員の業績は日本農作業学会功績賞の授に相応しい優れたものと判断した.

主催・協賛・関連行事2023年度春季大会優秀学生賞選考結果

 日本農作業学会 2023 年度春季大会優秀学生賞選考委員会(長﨑裕司委員長、他選考委員 4 名)は,学会誌 57 巻 4 号の会告に基づき学生会員から講演申込があった 4 名について,2023 年 3 月 20 日に開催された春季大会講演会 1 日目のポスター発表をもとに審査を行った.その結果,選考委員会は一致して,1 名の候補者に優秀学生賞を授与することが適当であるとの結論に達した.受賞者,受賞講演および授賞理由は以下の通りである.

2023年度春季大会優秀学生賞

受賞者: 森本奏多(奈良工業高等専門学校)

受賞講演: 傾斜果樹園における野生鳥獣モニタリング可能な自動運搬車輛の開発

受賞理由:
 自動運搬車両の設計・開発について,運搬作業の負担軽減と野生鳥獣の監視を兼ねた運用を前提に研究の方向性を定め,開発途上ではあるが実用化に向けた手法は明確であり高く評価できる.発表においては,タブレットを使用して自動運搬車両の走行試験動画を提示するなど,第三者が理解しやすい説明にも心がけ,研究に対する目的意識の高さもうかがえ授賞に値すると判断した.今後は目的とする傾斜地果樹園での運用に向けた開発を進め,農作業研究誌への論文投稿とともに,更に研鑽を重ね,当該研究分野のイノベーションを担う人材としての発展を期待する.

主催・協賛・関連行事大森弘美会員,帖佐直会員が日本農業工学会フェロー顕彰

 2023年5月13日に,本学会から推薦した大森弘美会員,帖佐直会員に日本農業工学会フェローの称号が授与されました.

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